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診療内容の記録を手元に

主体的な治療の意思決定には自分の病気を知ることが不可欠

カルテは誰のもの!?

皆さんは、病院を受診した際に自分のカルテを見たことがありますか。
日本では、カルテは誰のものかと訊かれて「患者のもの」と答える方は決して多くないでしょう。病気のことは医師にすべて任せておけばいいという意識が根強く、またカルテ開示は医師の診断に疑問を持っているかのような罪悪感を持つ人も少なくありません。

しかし本来、患者が自身の健康状態について把握すること、また病気をどのような方針のもとで治療していくか、あるいはどのような治療方法を選択するか、その決定権を最終的に持つのは患者です。自分の診療内容の記録を手元に持つことに、違和感はありません。医療先進国であるアメリカでは、カルテの閲覧が患者の当然の権利として認められています。日本でも、2003年の「診療情報の提供などに関する指針」、また2005年の個人情報保護法により、法律に基づき患者は医療機関へカルテ開示請求ができると明記されています。

医師任せではない、患者主体の医療へ

現在では医療技術の進歩により、様々な病気で新しい治療法の発見や新薬の開発が行なわれています。治療にあたって選択肢も増えており、患者本人が病気について十分な理解をしなければ、医師も十分な治療を行なうことができない状況になっています。医師任せの医療ではなく、病気をしっかりと理解し、治療方針やその内容について主体的に意思決定を行っていく姿勢を持つ患者主体の医療が、いま強く求められています。

急性疾患で、医師が最も必要とする患者の情報

たとえば、急性の疾患で救急搬送された患者の場合、医師が最も必要とする項目の1つは患者のアレルギーに関する情報です。患者自身がアレルギーの有無を把握していないことも多く、薬剤の投与が全身性の強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を引き起こし、最悪のケースでは命を失う可能性があります。この場合、もし患者自身がアレルギー情報が記載されている何かを持っていれば、迅速かつ確実な救急医療を施すことができ、患者と病院(医師)の双方に多大なメリットをもたらすことになります。

低血糖発作で意識が混濁している患者の場合、糖尿病患者であることが分かれば、あめ玉一個で意識を正常化できるかもしれません。

旅行先などで病気になった時・・・

また、旅行先で子どもや家族が病気になった時、それまでの既往歴について正確に説明できる人はいるでしょうか。配偶者や子ども、または親が何歳の頃にどのような病気を発症し、どのような病名をつけられ、その時の処方薬のうち効いたもの、逆にアレルギー反応がでた薬の正式名称など、正確に伝えることはできるでしょうか。自身の既往歴でさえ、時系列で説明することが難しい方もいるのではないのでしょうか。

患者自身が診療内容の記録を手元に持つ

近年では、自治体や県単位で医療機関同士が患者情報を共有する医療ネットワークの構築が全国各地で進められています。しかし、医療ネットワークでは患者自身に医療データが共有されないことが大半です。今後は、県・自治体だけではなく、患者自身も主体性を持って自分の医療・健康情報を自己管理し、必要に応じて第三者に提供して積極的に活用していくことは、患者の生活の質を向上させるだけでなく、適切な治療による医療費の適正化を通じて、社会全体の利益となるのでしょう。

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