コラム

保険者データとは?意味や活用方法、データヘルスについて解説 #034

ヘッダー画像

保険者データとは、レセプトや健診結果といった加入者のビッグデータのことで、これらの分析と活用により、加入者にあった効率的な保健事業が可能です。

本記事では、保険者データの意味と活用方法をデータヘルスの具体事例と合わせて解説します。


保険者データとは

保険者データとは、各健康保険組合の被保険者(加入者)の年齢や性別などの属性、医療機関を受診した際のレセプトデータ、健康診断の結果などにより構成される情報のことです。

日本は国民皆保険制度の達成により、加入者のレセプトデータなどはいずれかの保険者が保有しています。これらの情報の分析と活用による、効率的な保健事業の実施が求められています。

保険者データの活用方法

保険者データにより期待される活用方法

保険者データは、以下の活用方法が期待されています。

  • 被保険者自身が医療・健康情報を自己管理する
  • 保険者の健全な財政運営
  • 保険者による保健事業

なかでも、現在取り組みが進んでいるのが保険者データを活用した保健事業「データヘルス」です。

データヘルスとは

データヘルスとは、保険者が保有するレセプトなどの保険者データの分析と活用により、効果的に加入者の疾病予防や健康づくり(保健事業)を行うことです。

現役世代の健康意識を高め、病を早期に発見できれば、医療費の健全化にもつながります。このため、保健事業への取り組みは保険者の財政運営を健全化するうえでも必要です。

ビッグデータの活用は加入者にとっても、症例にあった適切な治療を選択できる、効果的な介護や重症化予防ケアを受けられるなどのメリットがあります。

データヘルスの取り組み内容

データヘルスを活用した具体的な取り組みには、データヘルス計画とデータヘルス改革があります。それぞれ解説します。

データヘルス計画

データヘルス計画とは、全ての保険者が保険者データの活用により、効果的に加入者の健康づくりや疾病予防を進める計画のことです。2013年に閣議決定した「日本再興戦略」により盛り込まれた案です。

2015年から2017年の第一期には各保険者でデータヘルス計画の作成と実績評価を行いました。現在は2018年から2023年の第二期にあたり、具体的な保健事業の実施と評価、修正のPDCAサイクルを回しながらより精度を高めた活動を行っています。

データヘルス改革

データヘルス改革とは、各保険者や行政が個々に保有している保険者データを連結し、分析や活用を可能とする「保健医療データプラットフォーム」の構築を目指したものです。2017年に閣議決定された「未来投資戦略2017」に明記されています。

これにより、健康・医療・介護のビッグデータを分析し、より効果的な保険運営を可能とします。また加入者は保険者が変わっても、適切なデータヘルスを受けられるようになります。

なお、データヘルス改革は2020年度からの本格稼働を目標とし、2017年にデータヘルス改革推進本部を設置しています。

データヘルスの活用事例

ここではデータヘルスの活用事例として、健康意識向上に成功したプリマハム健康保険組合と、被保険者の健康診断を促したYKK健康保険組合の事例を紹介します。(※)

※出典:厚生労働省「事例に学ぶ効果的なデータヘルスの実践」

プリマハム健康保険組合

プリマハム健康保健組合では、データヘルス計画の策定にあたり、健診結果を元に生活習慣病リスクを段階化したところ、40歳以上の男性加入者の約50%がメタボリックシンドロームに該当するという結果が示されました。

保険指導の重要性を痛感した同組合では、運動・睡眠・食事の健康意識を向上するアプリを開発します。運動と睡眠はウェアラブル機器で測定し、食事は写真を送るだけで管理栄養士から指導を受けられるプランを策定しました。

上記プログラムの利用者のうち、実に80%に食事や運動などの行動変容があり、体重減少に効果のあった利用者は全体の9割にも上りました。今後は参加者と非参加者の効果の違いを検証するなどして、事業のさらなる展開を目指しています。

YKK健康保険組合

YKK健康保険組合では男性加入者が多く、被扶養者(配偶者など)の健診受診率向上の取り組みを行うものの、50%に留まっていました。

そこで、40歳と50歳の節目年齢の者に受診強化を行い、自己負担のある健診を受けたときは500円分のQUOカードを配るなどキャンペーンも実施します。また、未受診の者には電話による推奨も行いました。これにより、節目年齢者は受診率が前年よりも12.5%アップしています。

今後は被扶養者の受診率100%を目指し、インセンティブや広報活動の強化を進めるとしています。

保険者データを活用すればより効率的な保健事業が可能となる

保険者データを活用し、効率的な保健事業を行うデータヘルス。データヘルスは各健康保険組合で取り組みが求められており、加入者に合わせた対策を講じることで、実際に健康意識の改善などの成果を上げています。

メディカル・データ・ビジョンでは、病院データ4,298万人(2023年2月末現在)、保険者データ1,797万人(2022年12月末現在)分の大規模診療データベースにより、病院経営改善や、患者数・処方日数の分析ツールなどを提供しています。導入実績は約45%で、全国の医療機関の方から高く評価いただいています。データの活用をご検討の際はぜひ一度、お問い合わせください。

page top