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コラム

BIツールとは?機能や医療業界での活用方法を解説 #006

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昨今ではさまざまなビジネスシーンで技術革新が進み、医療の現場においてもどんどんICT化が進んでいます。
そうした中で注目されているのが、ビッグデータの高精度な処理ができるBIツールです。
法人内の幅広い情報を統合し、複合的な視点によるデータ解析を実現するBIツールは、病院運営での必要性も高いとされています。

そこで今回は、BIツールによって実際にどのような効果が生じるのか、詳しく解説していきます。


BIツールとは

BIツールの機能の図

BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは、各法人内におけるあらゆるデータを集積し、それらを分析・レポーティングすることで、さまざまなビジネスシーンに活用するものです。

例えば経営戦略の方向性を決めたい場合、会計・売上実績・人事情報など、幅広い要素を含んだ意思決定が求められます。

しかし各々のデータを異なるツールやシステムで管理していると、まずは分野ごとに必要な情報を抽出し、1つずつ分析する作業から始めなければなりません。
さらに大量になればなるほど時間を要するうえに、もし手作業になればミスや漏れも発生しやすくなります。

そこで有効なのが、今回ご紹介するBIツールです。
では具体的にどのような機能があるのか、以下から詳しく解説していきます。

1. データの集積

先ほども出てきたように、法人内にある情報を活用するためには、まずは今までに蓄積されてきたさまざまなデータを集める必要があります。
さらには各部署や部門で別のツールを使用しているというように、法人内で分散してしまっているケースも少なくないでしょう。

こうした場合に、各種データを簡単に統合できるのがBIツールの大きな特徴です。
例えば顧客管理・財務・人事情報など、それぞれで異なるソフトを使用している場合にも、BIツールによって1つにまとめられます。

2. 集計・分析・法則化

集積機能によって統合された大量のデータを、あらゆる視点から集計・分析するのもBIツールの機能です。

BIツールでは、複合化された情報を必要に応じて抽出や統計ができ、さらには法則性の発掘やシミュレーションも人間の手を介さずに行うことが可能です。

3. レポート結果の表示

BIツールを活用すれば、膨大な情報を集めて解析した結果をグラフや報告書に落とし込む作業まで自動化できます。
なおかつダッシュボード表示による可視化もできるため、社内における情報共有にも有効的です。

また分析結果をリアルタイムに把握できるようになり、よりスピーディーな行動にもつながります。

BIツールの仕組み

それでは前述にある機能は、実際にどのような動き方をするのか、詳しい処理方法について見ていきます。

1. データを集めて加工する

BIツールを活用するにあたっては、分散してしまっているデータを集めるフェーズから始まります。
まず別々のシステムで管理されている情報は、DB接続やAPI連携によってBIツールに統合します。

または各システムからエクスポートしたCSVなど、各種ファイルのアップロードといった方法でも集積することが可能です。
そして集まってきた情報は、BIツール内で処理できるデータに変換して蓄積し、時系列や項目などが再構成されます。

2. 意思決定の支援につながる結果を示す

BIツール上で蓄積・加工されたデータをもとに、次の3つの方法で自動的に分析されます。

  • OLAP(オンライン分析処理)
    複合的に集められた情報から、必要としている特定の参照値を割り出し、さらに多方面から各推移を分析する手法です。
    とある1つの結果に対し、あらゆる視点から深掘りする分析をします。
  • データマイニング
    統計によってデータの法則性を発掘する分析方法で、単純に集計するだけでは分からない関連性や隠れた傾向を見出す処理がされます。
    相関分析や重回帰分析など、通常では難しい分析ができるのもBIツールの特徴です。
  • プランニング
    BIツール内に蓄積されているデータを利用して、シミュレーションによる予測を立てることにより、具体的な実行計画をレコメンドする機能もあります。
    どの数値をどう動かすことでどのような結果が出るか、自動で再現する処理が行われます。

3. 分析結果を分かりやすい形式にする

上記の処理によって導き出された結果は、グラフや表といった、一目で理解できるようにビジュアル化されます。
もちろんダッシュボード表示では、ユーザーごとに必要な要素のみを抽出することも可能です。

さらにはPDFやWordといったファイルに出力し、報告書などのレポートを自動作成する使い方もできます。

BIツールのメリット・デメリット

今までにご説明してきたように、BIツールには業務を円滑にするさまざまな機能性がありますが、当然ながらメリットだけではなくデメリットも存在します。
では実際にどのような効果が見込めて、どんな点に注意すべきなのか、以下から詳しくご紹介していきましょう。

すぐに的確な情報を得られるのがメリット

BIツールでは、煩雑かつ膨大なデータを自動で分析し、すぐに必要な結果を導き出せるのが最大のメリットです。
今まで情報の集計や分析に手間取っていた時間を省略できるうえに、タイムリーな現状把握を実現できます。

さらに、基本的には誰でも精度の高い分析結果に辿り着けるのも利点です。
一人ひとりの迅速な行動を促すことにつながります。

導入時の負担が掛かりやすいのがデメリット

BIツールに限ったことではありませんが、どうしても導入から運用開始に向けた準備や設定の負担は避けられません。
さらにBIツールは、さまざまな基幹系システムなどのデータと連携する必要があり、それぞれを接続するには高度なスキルが求められるケースもあります。

もちろんBIツールの提供元によるサポートサービスもありますが、その分の費用も高くついてしまうのがデメリットです。

Excelとの違い

数値データの管理や集計といった処理は、Excelでも同様にできるものです。
しかしBIツールとExcelとでは機能性が大きく異なるので、具体的にどのような差があるのか見ていきます。

まず1つは、法人内にあるデータの集め方です。
各部門や業務別に使っているシステムが違う場合、Excelだと1つずつデータを抽出して反映しなければなりません。

しかしBIツールで各システムのデータベースを連携しておけば、統合されている状態から必要な情報を取り出すことが可能です。
さらに各システムでデータが更新された際には、同じようにBIツールでもアップデートされます。

そのほかBIツールでなら、Excelでは難しい複雑な分析も自動で対処できます。
またExcelによってデータを管理するには関数の知識が求められますが、BIツールであれば操作性のハードルも比較的低く、管理者層だけでなく現場レベルでも利用しやすいのが利点です。

Excelよりも、BIツールのほうが幅広く活用できるでしょう。

ただし当然ながら、Excelのほうが適している処理もあります。
例えば個人的に特定の分野の数値管理をしている場合などです。

Excelで単一的に管理するのみであれば、わざわざ法人内の膨大な情報を集める必要はありません。
取り扱う情報量が限定的であったり少なかったりするケースでは、Excelのほうが手軽に処理しやすいでしょう。

医療分野でのBIツールの活用

ここまでにご紹介してきたように、ビッグデータの活用において高度な機能性を持つBIツールは、医療の現場でも著しい活躍を見せています。

それでは実際にどのような導入事例が考えられるのか、詳しく解説していきます。

各患者様に必要な対処をリアルタイムに提案

BIツールによって、電子カルテといった病院内の基幹システムにおけるビッグデータの活用が実現でき、より精密かつタイムリーな情報を用いた的確な判断につなげられます。
例えば病院の稼働率を可視化し、院内で毎日情報共有をするなどです。

各医師や職員が日頃から利用しているツールにて、病床の数値データをダッシュボード表示することで、常に現状を把握した適切な対処が実現できます。

経営状況の最適化を促進する

病院経営における財務状況は、診療報酬が大きく影響するでしょう。
そこで病院内の基幹システムと連携したBIツールの活用を進めることで、経営の最適化にも役立ちます。

例えば看護必要度に関するデータの収集や集計をシステム化し、日常的に数値管理をするとします。
そしてBIツールによって自動的に解析・シミュレーションができるようになれば、より的確な判断にもとづいた診療報酬改定につなげられるのです。

上記のように、BIツールは病院運営において非常に有効的な活用ができます。
特に何百万、何千万といった膨大な情報を蓄積している医療現場では、スピーディーな処理ができるBIツールの必要性はかなり高いのです。

製薬分野でのBIツールの活用

医療分野と同様に、製薬分野でもBIツールは活用されています。
以下、製薬分野でのBIツールの導入事例を解説していきます。

BIツールの活用で変化の激しい製薬業界の流れに対応

製薬業界では日常的に、新しい医薬品が開発され、競合製品の把握はもちろん、状況に合わせて経営戦略をつねに見直していく必要があります。

BIツールの活用により、市場の変化に合わせたスピード感のあるデータの分析や活用が可能です。

BIツール導入により全社でのデータ活用が活性化

とある製薬会社では複数のBIツールとExcelを用いてデータ分析をしていましたが、部署間での情報共有が上手くできていなかったため、多くの部署で別々にデータの二次加工をしていました。
自社で保有しているデータを有効に活用できていないことや、分析に時間がかかっていたため、市場の変化に対応しきれていないという課題を抱えていました。

BIツールを導入したことでデータがビジュアル化され、情報の把握が容易になりました。
これまで各部署で実施していたデータの二次加工に費やす時間も、BIツール導入後は大きく改善されました。

BIツールについてよくある質問

質問1:BIツールとエクセルの違いはなんでしょうか?

各部門や業務別に使っているシステムが違う場合、Excelだと1つずつデータを抽出して反映しなければなりません。
BIツールで各システムのデータベースを連携しておけば、統合されている状態から必要な情報を取り出すことが可能です。
さらに各システムでデータが更新された際には、同じようにBIツールでもアップデートされます。

質問2:BIツールのメリットはありますか?

BIツールでは、煩雑かつ膨大なデータを自動で分析し、すぐに必要な結果を導き出せるのが最大のメリットです。

質問3:BIツールのデメリットはありますか?

導入から運用開始に向けた準備や設定の負担は避けられません。
BIツールは、さまざまな基幹系システムなどのデータと連携する必要があり、接続するには高度なスキルが求められるケースもあります。

BIツールの導入を検討しよう

当社メディカル・データ・ビジョンでは、医療機関や製薬会社に向けた、データネットワークサービスおよびデータ利活用サービスを提供しています。

日本最大規模の診療データベースをもとに、お客様ご自身で患者数や処方日数、処方量などを容易に分析していただけるWEB分析ツールです。
疾患や薬剤だけでなく、手術や検査など実際の診療行為を起点とした多角的な分析も可能です。

病院経営をサポートする情報活用のプラットフォームサービスをはじめ、経営状況のレポートや可視化をする、さまざまなシステムのご提案が可能です。
医療現場におけるデータ活用にお困りの際には、ぜひ一度メディカル・データ・ビジョンまでご相談ください。

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