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コラム

2022年度診療報酬改定 斜め読み!Part2 製薬会社さま向け 改定トピックス

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当社の田中賢悟が、2022年度診療報酬改定の内容を病院関係者さまの目線により近づけて分析、製薬会社の現場担当者さまが取引先さまと情報共有する場面でお役立ていただけるよう分かりやすく解説しています。なお、記載内容は個人の見解に基づくものであり、個人が所属する組織の公式見解ではありません。

Ⅰ 薬剤師・管理栄養士の役割

「コ・メディカルの活躍が、これからの医療を変えていく」

 コ・メディカルといわれる医療従事者の役割は今後どのように変わっていくのか。2022年度診療報酬改定では、厚生労働省が考えるチーム医療の推進の仕方が浮き彫りになった。それはコ・メディカルがチーム医療により関与するもので、薬剤師の役割拡大と併せて管理栄養士のかかわり方が大きくクローズアップされた。(※1)

※1管理栄養士・薬剤師がかかわることが要件とされた項目

 「医師の働き方改革」という錦の御旗の下で2010年度改定以降、コ・メディカルの役割が診療報酬の算定要件として施設基準に盛り込まれてきた経緯がある。
 その中で、「栄養サポートチーム加算」を中心とした患者のケアに栄養管理の概念を取り入れたものはあったが、医療機関としては施設基準の専従要件を満たすための体制づくりをするのが難しいとの声も多く、「栄養サポートチーム加算」の施設基準を届出している施設は1,700(2021年5月末時点厚生局届出件数)にととまっている。だが、実際の医療現場では、がん患者に対する栄養指導など直接、患者ケアに関わることが日常となるなど、管理栄養士の活躍の舞台は確実に広がってきており、今回の2022年度改定では活躍の場が明確となった。

報酬診療における栄養項目に関する評価の主な変遷

※厚生労働省 令和3年11月12日 第496回中医協総会  入院(その3)

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000853842.pdf

薬剤師の働き方も入院中の患者に直接かかわることで算定ができる「薬剤管理指導料」が創設されて以降、変化をし続け、調剤業務だけではなく治療に関わる職種として担う役割の範囲は拡大してきている。特に2022年度改定では「モノから人へ」といったワードが出るほどに、調剤薬局の薬剤師はもちろんのこと、病院薬剤師の患者へのかかわり方に対する診療報酬評価が争点となり、その役割の重要性がますます強調される形となった。

病院薬剤師数と病棟薬剤業務実施加算届出医療機関数

※厚生労働省 令和3年12月8日 第503回中医協総会  個別事項(その8)

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000863565.pdf

 厚労省は、「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」と銘打った議論の場で、管理栄養士や薬剤師に関する業務の分析と診療報酬評価を示している。同検討会のテーマが「医師中心の医療」から「チーム医療」へとシフトする日も近いだろう。

Ⅱ オンライン診療とICTを活用した医学管理

「オンライン診療の新たな点数設定で環境は整ったのか」

日本の医療界において情報通信技術の活用は遅々として進んでいないと言われている。
一方で、手術支援ロボット適用手術の保険収載が拡大され、介護支援ロボットも保険適用が開始されるなど先端医療技術は積極的に採用されている。この一見異なってみえる二つのTechnologyが同じ議論の場で協議されるのは不思議な話である。

 再診料を算定することができる要件に、電話等による対応が盛り込まれたのは2010年度改定であった。そして2018年度改定で、「オンライン診療料」としてスマートフォン等を利用した診療を認めると併せ、遠隔診療に関するいくつかの管理料が新設された。そういった中、先行して創設された睡眠時無呼吸症候群に対する管理料や、ペースメーカー管理に関する管理料などの遠隔監視に係る管理料は積極的に取り込まれていった。一方で、オンライン診療料の算定件数はルールが厳格であったり、診療報酬点数が低かったりするなどの理由で、思いのほか活用されなかった。

オンライン診療に係る基本診療科の算定医療機関数

※厚生労働省 令和3年12月22日 第507回中医協総会  外来(その5)

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000870642.pdf

 2020年初頭からの新型コロナウィルス感染症の拡大により、医療機関は外来診療を補完する非接触型診療への早急な対応を迫られ、これまで、外来診療の代替手段として本格的な議論になることはなかったオンライン診療が一躍、脚光を集めることとなった。その影響もあって今回の2022年度改定で、情報通信機器を用いた初再診療の算定要件が大幅に緩和され、これまで限定的だった医学管理料が大幅に追加、在宅医療での患家カンファレンスなどへの活用可能範囲も拡大した。通信技術による情報の共有するための仕組みが、ついに本格的に診療報酬に取り込まれることとなった。

情報通信機器を用いた医学管理等に係る評価の見直し1

※厚生労働省 令和4年3月4日 令和4年度診療報酬改定の概要 (全体版)抜粋

 医療分野におけるICTの活用・DXの推進は、医療技術の発展とは全く異なった経過をたどりながらも確実に進んでいる。オンライン診療を推進するために報酬体系は対面診療に近づいたが、はたして現場に定着するかが次の焦点になる。


田中賢悟

ユーザサポート部 ユーザネットワークユニット
視能訓練士、介護支援専門員、日本医業経営コンサルタント協会会員
1994年高岡市民病院入職、2007年医事課に異動後、経営管理室兼務。病院経営改善プロジェクトにて、診療行為分析やクリニカルパス改善のほか、病棟再編成を担う。2020年現職、「EVE」「MC」など病院向けソリューションの製品改良の他、「MDV Must」「MDV AP」など新製品企画に携わる。防災士、日本DMATタスク業務調整員など、災害現場の医療活動や地域防災活動の指導者の一面も持つ。

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