コラム

【NDBオープンデータとは?】NDBのシステム・分析方法などを徹底解説【医療DB】 #013

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あなたは「NDB」をご存知でしょうか?
NDBとは、厚生労働省が提供する医療データベースです。

「なんとなく聞いたことはあるけど、いまいち何なのかわからない」
「どうやって活用したらいいの?」

そのように思っている人も多いと思います。
本記事ではそのような人に向けて、

  • 「NDB」「NDBオープンデータ」の意味や違い
  • データベースシステムとしての特徴
  • オープンデータで取得できる情報や活用・分析方法

などを徹底解説します。
難解なNDBについて図解も用いてわかりやすく解説しますので、すぐに理解し活用できるようになるでしょう。


NDBとは【=レセプト情報・特定健診等情報データベース】

まずは「NDB」という言葉の意味について解説します。

NDBとは「National DateBase」の略称で、日本語では「レセプト情報・特定健診等情報データベース」と呼ばれています。

具体的にどんなデータが格納されているのかと言うと、大きく分けて2つです。

  1. 医療機関から保険者に発行しているレセプト(診療報酬明細書)
  2. 定健診・特定保健指導の結果

この2つの情報が納められており、以下のような情報を確認する為に役立つものとなっています。

  • 国民の受診率(保険診療)
  • 生活習慣病の発症率の傾向

※レセプト情報は2009年度分から
※特定健診関連の情報は2008年度分から

「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づいて、主に行政機関や研究者向けに厚生労働省からデータが提供されています。

レセプトとは

「レセプト」とは、保険診療をした医療機関が、診療報酬点数表に基づいて診療報酬(医療費)を保険者に請求するために、患者一人について毎月発行する診療報酬明細書です。

特定健診とは

「特定健診」とは、日本人の死亡原因の約6割を占める生活習慣病の予防のために、40歳から74歳までの人を対象にした、メタボリックシンドロームに着目した健診です。

特定保健指導とは

「特定保健指導」とは、特定健診の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く期待できる人に対して、専門スタッフ(保健師、管理栄養士など)が生活習慣を見直すためのサポートをします。

NDBのデータベースシステムとしての特徴

NDBのデータベースシステムの特徴としては「網羅性」が挙げられます。

NDBには日本の保険請求情報の95%以上が集められています。

紙媒体等で請求されたレセプトはデータベースに含まれていないものの、近年のデジタル化の加速も相まってこれだけの情報を蓄積できています。

格納されている具体的な情報については、

  • 個人名
  • 生年月日の「日」
  • 医療機関名

などは削除されているものの、個人にIDが付与されており、IDを紐づければ情報を関連させることが可能です。

医療機関名に関しても特定こそ出来ないものの、「同一」の医療機関を利用したのか「異なる」医療機関を利用したのかは確認できるため、情報の統一に役立ちます。

NDBのデータベースシステムの加工方法

情報の加工方法に関しては、NDB独自のものが採用されています。

例えば「レコード識別情報(=どのカテゴリーに属している情報か一目でわかる指標)」ごとに分けてレセプトデータを格納しています。

「IR」の識別情報が付与されていればその情報は「医療機関関連」のもの、「SY」の識別情報であれば「傷病名」に関するもの、といった形です。

レコード識別情報を参照にすることで、効率的に欲しいカテゴリーの情報を検索することができます。

レコード種類一覧(医科の場合)
レセプトのイメージ

※通番1は単一のレセプト内で・通番2は全レセプト内で、それぞれの情報を区別するために振り分けられている番号です。

また、情報を「集団」として以外に「個人」としても扱えるように、一人一人の個別情報にIDが付与されています。

このIDに関しても結婚や離職でIDが変わることがあるため、被保険者番号等で作成された「ID1」と氏名などで作成された「ID2」の2パターンを用意することで、個人単位での情報の取り扱いをより正確なものにしています。

NDBオープンデータとは【=一般向け公開データ】

NDBには「オープンデータ」が存在します。

こちらは「NDBの集計結果の中でも一般向けに公開されているデータ」を意味します。

以前までは『NDBには個人情報も含まれているため、オープンデータとして公開しない方がいいのではないか』という方針のもと、一般向けの情報提供はされていませんでした。

しかし『個人情報とはいえ、集計結果として基本的な部分は公表しても差し支えないのではないか』という声が高まり、2016年から「典型的かつ一般的な観点」のデータが広く公開されるようになりました。

結果的に日本の医療ビッグデータを扱った統計資料として、企業の新規事業など様々な場面で活用されるようになりました。

※厚生労働省のホームページ内にあるNDBオープンデータのページはこちらです。

NDBオープンデータの2つの種類【データ編・解説編】

オープンデータは大きく分けて「データ編」と「解説編」に分けられています。

データ編で各集計表が公開されており、解説編ではそういった集計表に基づいた前年度との比較や注意事項に関する解説が記載されています。

公表対象には、以下などがあります。

  • 医科入院外レセプト
  • 医科入院レセプト
  • 調剤レセプト
  • 歯科レセプト
  • 特定健診情報
  • DPCレセプト

※DPC(Diagnosis Procedure Combination )は日本語で「包括評価制度」と呼ばれていて、病名や診断内容に応じて包括診療部分の一日あたりの医療費を定める計算方式です。

NDBオープンデータで公表されている項目・公表形式

ここでは「NDBオープンデータがどのように公表されているのか」について解説します。

NDBオープンデータで公表されている項目

NDBオープンデータで公表されている項目

NDBオープンデータで公表されている項目は、大きく「医科診療行為」「歯科傷病」「薬剤」「特定健診」の4つのジャンル、さらに7つの小項目に分けられています。

  1. 医科診療報酬点数表項目
  2. 歯科診療報酬点数表項目
  3. 歯科傷病
  4. 薬剤データ
  5. 特定保険医療材料
  6. 特定健診検査項目
  7. 特定健診質問票項目

NDBオープンデータの公表形式

そして、7つの小項目の公表形式は以下のようになっています。

NDBオープンデータで公表されている項目

「都道府県別」「性・年齢別」で集計される項目

  1. 医科診療報酬点数表項目
  2. 歯科診療報酬点数表項目
  3. 歯科傷病
  4. 薬剤データ
  5. 特定保険医療材料

加えて「1医科診療報酬点数表項目」については以下が公開されています。

  • 「二次医療圏別」、「診療月別」の集計
  • 一部の診療行為に対する「都道府県別/性・年齢 別」のクロス集計

2歯科診療報酬点数表項目」については「二次医療圏別」の集計が公開されています。

※「二次医療圏」とは、緊急医療を含む一般入院治療が完結できるエリアの区分けを指していて、複数の市区町村で構成されています。

※「クロス集計」とは、2つ以上の質問を掛け合わせて集計する方法でデータを細分化することができます。

「都道府県別/性・年齢別」 「二次医療圏別/性・年齢別」でクロス集計される項目

  1. 特定健診検査項目
  2. 特定健診質問票項目

全ての集計表・代表的な項目のグラフは公表されている

公表形式に関わる全ての集計表は「データ編」で確認できます。

また、「解説編」では算定回数の多い代表的な項目を都道府県別にグラフ化し、それぞれに簡単な説明が付け加えられています。

※「算定回数」とは、診療報酬点数表及び調剤報酬点数表に定められた一行為の回数です。例えば、入院基本料は入院一日を一回としています。

NDBの3つの活用事例

実際にNDBはどのような場面で活用できるのか、その一例をご紹介します。

①地域別に疾患ごとの患者数を調べる

レセプト情報に関しては、診療に関する様々な事項を集計できるので、例えば「特定地域において歯科の患者数が多い疾患は何か?」といった分析をすることが可能です。

②疾患ごとの処置内容を調べる

特定事例を時系列で追跡することで、例えば「COPD(慢性閉そく性肺疾患)、心不全、喘息などといったそれぞれの疾患に、どのような処置が行われたのか?」を分析することができます。

③特定健診の受診者の健康状況を調べる

特定健診情報については受診者の健康状況を研究することができますし、さらにはレセプトの情報と紐づけて分析することも可能です。

難解な医療データ分析にはツール活用がオススメです

今後NDBは日本の医療ビッグデータを扱った統計資料として、保健医療政策に携わる人や研究者・その他ヘルスケアに関心を持つ多くの人に役立つことが期待されています。

ただし、このような統計情報を扱うには高度な専門知識が必要不可欠で、かつ多大なる労力も必要となります。

当社メディカル・データ・ビジョンは【診療データベース分析を圧倒的に効率化させるツール】や【特定診療データの調査分析】などを提供していて、医療・製薬業界はじめ多くの企業様にご活用いただいております。

医療ビッグデータのビジネスへの利活用を検討されている場合には、ぜひ一度ご相談ください。

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