【レセプトデータとは】項目・レセプト業務から分析・活用方法までわかりやすく解説 #021
2022.09.09
2024.05.10
この記事では、「レセプトデータ」について “どの記事よりもわかりやすく” 解説します。
普段からレセプトデータに関わりのない方は、その具体的な意味や扱い方を理解することは難しいかもしれませんが、この記事を読むことでその概要を掴めるはずです。
この記事では、
- レセプトデータの意味
- レセプトデータの項目
- レセプト業務の流れ
- 医療業界の収益構造
- レセプトデータの分析・活用方法
などについて徹底的に解説していきます。
この記事を読むことで、レセプトデータを理解できるだけでなく、属する組織でどのように活用すべきかまでわかるようになります。
医療ビッグデータの活用が求められる昨今、まずは “レセプトデータのいろは” を知っておきましょう。
目次
レセプトデータとは【=診療報酬明細書】
まず、レセプトデータの意味を解説します。
レセプトデータは、主に保険診療をした医療機関が発行する「診療報酬明細書」です。
医療機関の診療には、以下の2つがあります。
- 保険診療:健康保険が適用される公的な診療
- 自由診療:保険適用外の診療(美容医療、AGA治療など)
保険診療をした医療機関では、それぞれの病気や治療によって変動する「診療点数」に基づいて患者が医療費を支払います。
低所得者層と幼少期・シニアの年齢層を除いて、基本的に患者は保険適用により「3割負担」となります。
そのため、残りの7割は患者が加入している「保険機関(健康保険組合、共済組合、市区町村など)」に対して、医療機関が毎月請求します。
この際に発行するのが「レセプトデータ(診療報酬明細書)」です。
レセプトデータは、以下4つに分けられています。
- 入院:病院の入院者情報
- 外来:病院・診療所などの通院者情報
- 歯科:歯科医院の患者情報
- 調剤:調剤薬局で薬を受け取った人の情報
「入院」「外来」「歯科」には患者の診療データが、「調剤」には患者ごとに処方された医薬品(お薬)のデータが記載されます。
※よく混同される「レセプトデータ」と「DPCデータ」の違いを知りたい方は、【DPCデータとは?】活用術・分析方法やレセプトデータとの違い等を解説も合わせてご覧ください。
レセプトデータ作成の流れ【レセプト業務】
該当する医療機関が診療報酬を請求する業務を「レセプト業務」と呼び、毎月10日までに前月分のレセプトデータを作成・提出します。
多くの医療機関は、レセプトを効率的に作成するソフトウェア「レセプトコンピュータ」を導入していて、日々の診療の中で診療内容や病名といったデータをレセプトコンピュータに入力しています。
主に医療事務職のスタッフがデータを入力します。
現在、作成したレセプトデータの提出はほとんどがオンライン上で完結します。それ以前は、CD-ROMの送付が主流でした。
1ヶ月分のレセプトデータの確認・請求をまとめて作業するので、医療事務は月初に大変苦労することになります。
レセプトデータの提出先は「審査支払機関」
レセプトデータの提出先は、健康保険組合などの保険機関ではなく「審査支払機関」です。
審査支払機関を介して、実際に医療費を支払う保険機関にデータが引き渡されます。
医療機関と保険機関の間に審査支払機関を挟む理由は、できるだけ正確かつ精緻に医療費を計算するためです。
中には本来請求できない診療点数を計算している医療機関もあり、不正な点数の請求をしている場合には、審査支払機関から医療機関にレセプトデータが差し戻されることもあります。
そのためレセプト業務には慎重さが求められ、医療事務内でダブルチェックは必須です。
レセプトデータの記載項目から把握できる内容
レセプトデータの記載項目から把握できる内容は、主に以下の2つです。
- 患者1人1人に対する「診療・検査・治療」の内容
- 各医療機関の収益
患者ごとの診療期間が、いつから、どんな病気で、どんな薬が処方され、どんな検査・手術を受けたかを把握できます。
また、請求点数1点=10円で診療報酬を計算できるので、各医療機関がどの程度の収益を上げているか把握できます。
病気や治療によっては医師の指導料や管理料も加算されていて、それらの内訳を把握することもできます。
一方で、レセプトデータからは処方や手術の表面的な情報しか取得できないので、以下のような「過程」に関する内容は把握できません。
- 検査結果の内容
- 手術をする前の患者の状態や背景
- 薬を処方する背景
レセプトデータの分析方法・活用法
最後に「レセプトデータの分析方法・活用法」を各機関の事例を基に解説します。
例えば「健康保険組合」がレセプトデータを活用する場合、
- 地域ごとの特定の薬の使用率
- 地域ごとの時間外診療の実施割合
- AとBなどといった複数の病気の関係性
といったデータを活用することで、特定の病気の予防策を検討できます。
また、「製薬企業」であれば、
- 地域ごとの特定の病気の割合
- 薬ごとの処方割合
を分析することで、今後の営業戦略や新薬開発方針の決定に役立ちます。
「医療機関を対象にしたコンサルティング会社」であれば、レセプトデータの診療報酬を確認することで、
- 同地域での競合医療機関の動向
- 診療報酬内で多くの割合を占めている病気の把握
- 競合医療機関との差別化
といったデータに基づく経営方針のアドバイスにつなげられるでしょう。
「行政機関」であれば、「診療報酬改定」などの議論でレセプトデータが活用されます。
医療政策はデータに基づいて議論され、具体的な施策が決定されるので、レセプトデータは今後も活用されていくでしょう。
レセプトデータ分析・活用の際は当社をご活用ください
当社メディカル・データ・ビジョンは
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主に企業者様や学術研究機関様に向けて、「レセプトデータ+DPCデータ」といった病院診療データベースも提供しています。
当社が提供できる診療データベース(2022年6月末時点)の対象範囲は、
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