コラム

第6回 『終末期の医療』 7回シリーズ「診療報酬と病院」

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 本コラムは当社の田中賢悟が、2022年度診療報酬改定の内容を病院関係者さまの目線により近づけて分析、製薬会社の現場担当者さまが取引先さまと情報共有する場面でお役立ていただけるよう分かりやすく解説しています。なお、記載内容は個人の見解に基づくものであり、個人が所属する組織の公式見解ではありません。


「患者数の推移」

【病院938,130人(68.3%)、診療所21,455人(1.6%)、介護医療院・介護老人保健施設等45,606人(3.3%)、老人ホーム125,722人(9.2%)、自宅216,103人(15.7%)、その他25,738人(1.9%)】
 これらの数値は2020年における死亡場所別死亡者数1,372,755人の内訳である(「2020年人口動態統計」より)。【グラフ1】
 診療所も合わせた医療機関での死亡者数は1975年を境に急激に増えていき1990年には70%台に到達、一時は80%以上が医療機関で死亡したが、2020年は70%となった。
 一方、死亡者数は2040年まで増加の一途をたどり、同年には166万人の達すると推計されている。

厚生統計要覧2021年度第1編人口・世帯第2章人口動態より作成

【グラフ1】https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyk_1_2.html

厚生統計要覧2021年度第1編人口・世帯第2章人口動態より作成

中央社会保険医療協議会総会2016年12月14日 医療と介護を取り巻く現状と課題等資料より抜粋

【グラフ2】https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000167844.pdf

中央社会保険医療協議会総会2016年12月14日 医療と介護を取り巻く現状と課題等資料より抜粋

稼働病床数はというと、地域医療構想における2025年の病床必要量が示すとおり高度急性期・急性期病床も、慢性期病床も減少する。
 とすれば、今の死亡場所割合でいくと約116万人が医療機関で死亡することになるのだが、果たしてこの数を受け入れるだけのキャパシティーがあるかとなると、どうだろう。

「終末期の医療は誰が担うか」

 1987年7月、「人生の最終段階における医療の在り方についての検討会」が発足し、国民や医療者の意識調査が開始された。2007年に同検討会は「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を策定、2018年に改訂版が公表され、患者や家族、さらに医療者の終末期医療に対して取り組むべきことについて明記された。
 その検討会の実施した2017年度報告の中で、人生の最終段階の状況において過ごす場所に関する希望としては、国民の大半が自宅での療養を希望していることが分かった。


2017年度 人生の最終段階における医療に関する意識調査 結果(確定版)Ⅰ-8 さまざまな人生の最終段階の状況において過ごす場所に関する希望(1)医療・療養を受けたい場所 【ケース1】

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000200749.pdf

 しかし今の医療提供体制下では、そのほとんどの患者が病院で最期を迎えているのが実態だ(前述参照)。
 一方で、地域医療構想では、将来の医療体制を実現するための施策としてターミナルケアの充実も含めた在宅医療体制の整備の充実が掲げられている。

 また、2022年度診療報酬改定においては、情報通信機器を用いた診療行為の一つに、訪問看護師の立ち合いによる死亡確認を認める点数として、遠隔による死亡診断に係る加算が新設された。
 終末期の医療提供を誰が担うのか、地域連携を進めていく中で自院が進むべき道と合わせ議論をしていただきたい。


田中賢悟

ユーザサポート部 ユーザネットワークユニット
視能訓練士、介護支援専門員、日本医業経営コンサルタント協会会員
1994年高岡市民病院入職、2007年医事課に異動後、経営管理室兼務。病院経営改善プロジェクトにて、診療行為分析やクリニカルパス改善のほか、病棟再編成を担う。2020年現職、「EVE」「MC」など病院向けソリューションの製品改良の他、「MDV Must」「MDV AP」など新製品企画に携わる。防災士、日本DMATタスク業務調整員など、災害現場の医療活動や地域防災活動の指導者の一面も持つ。

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