COVID-19の侵襲的人工呼吸患者における集中治療室と高次治療室との比較
Hiroyuki Ohbe, Yusuke Sasabuchi, Masao Iwagami, Takayuki Ogura, Sachiko Ono, Hiroki Matsui, and Hideo Yasunaga
題名 | Intensive Care Unit versus High-Dependency Care Unit for COVID-19 Patients with Invasive Mechanical Ventilation |
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著者 | Hiroyuki Ohbe, Yusuke Sasabuchi, Masao Iwagami, Takayuki Ogura, Sachiko Ono, Hiroki Matsui, and Hideo Yasunaga |
出典 | Annals of the American Thoracic Society |
領域 | COVID-19 |
Intensive Care Unit versus High-dependency Care Unit for COVID-19 Patients with Invasive Mechanical Ventilation | Annals of the American Thoracic Society
https://www.atsjournals.org/doi/10.1513/AnnalsATS.202206-475OC
理由
高度治療室(HDU)は、「中間ケアユニット」「ステップダウンユニット」「呼吸器高依存症治療室」とも呼ばれ、患者の治療レベルとコストが集中治療室(ICU)と一般病棟の間にある分野である。一般に,人工呼吸を必要とする患者は,大規模な緊張時にHDUベッドをサージ容量ベッドとして使用する場合を除き,HDUではなくICUで治療されるが,日本ではコロナウイルス症2019(COVID-19)の人工呼吸患者の標準治療室としてICUだけでなくHDUが使用されている。
目的
HDUで治療された侵襲的機械換気によるCOVID-19患者の転帰をICUで治療された患者と比較評価することである。
方法
このレトロスペクティブコホート研究では,日本の多施設入院患者データベースを用いて,2020年2月10日から2021年11月30日までの侵襲的機械換気開始日にICUまたはHDUで機械換気されたCOVID-19患者を同定した。主要アウトカムは、最初の侵襲的機械換気開始日から30日以内の院内死亡率とした。傾向スコアマッチングを行い、ICUで治療された患者とHDUで治療された患者の転帰を比較した。
結果
侵襲的人工呼吸を行ったCOVID-19の対象患者1,985例中、侵襲的人工呼吸の開始日にICUで治療を受けていたのは1,303例(66%)、HDUで治療を受けていたのは682例(34%)であった。傾向スコアマッチング後、ICUで治療した患者はHDUで治療した患者よりも30日以内の院内死亡率が有意に低かった(18.3%対24.2%、リスク差、-5.8%、95%信頼区間、-10.9%~-0.8%)。
結論
本邦における多施設共同観察研究により,COVID-19の機械的人工呼吸患者に対するICUでの治療が,HDUでの治療と比較して30日以内の院内死亡率を有意に低下させる可能性が示唆された.人工呼吸器を必要とするCOVID-19患者をICUで治療できるようなクリティカルケアシステムの確立が望まれる。本研究は観察研究であるため、今回の知見は因果関係ではなく、関連性を示している。我々の知見を確認するために、異なるクリティカルケアシステムを用いたさらなる研究が必要である。