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MDVデータの強みを説明してください。
中村
MDVデータの強みは、まず日本最大規模のデータを保有していることです。現在DPCデータで4,300万人以上の実患者のデータが集積され、直近1年間でも1,000万人以上のデータとなります。この病院データを保有している点がMDVの最大の強みとなります。
また、保険者のデータもDeNAとのアライアンスにより1,900万人超規模となっており、2つのデータを組み合わせたデータベースを一つのプラットフォームで利用できる点も強みとなっています。
さらに、MDVは長期間にわたり医療データにかかわってきた国内ベンダーの一つであり、経験・ノウハウを持っています。数多くのデータを集めるだけでなく、データのクレンジングの精度や、データ集計における正しい仕様の検討でも高いクオリティを誇っています。このようなデータボリュームと取り扱いにおける高品質なデータ処理がMDVのもう一つの強みとなります。
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規模について日本最大規模とのお話がありましたが、MDV以外でも同様に国内最大規模をアピールするベンダーもいますが、ここに関してはどう考えていますか?
中村
「規模」について、例えばカテゴリー別に考えると、当社は「病院データ(DPCデータ)」において国内最大規模のデータボリュームです。規模はもちろん重要な要素ではあります。しかし、企業や医師・研究者の皆様にとりましては、必要とする正確なデータベースを選択することが本当に重要です。
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データ利活用ビジネスの新規参入が相次いでいますが、それについてどう考えていますか。
中村
そこは、いろいろな会社がどんどんと入ってきていただけると面白くなっていくと思っています。ただし、“安かろう、悪かろう”ではなく、データを提供する際には、正しい定義をきちんとご提供し、結果の正確性を担保していただきたいです。ここについては、正しくやっていただきたいと思います。
また、個人情報の取り扱いについても、レギュレーションに違反するような行為が起こると、我々含め市場全体がそう思われてしまう可能性があるので、ここについてもしっかりと正しくやっていただきたいです。
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先日、次世代医療基盤法の見直しがありましたが、なぜMDVは次世代医療基盤法の認定事業者にならないのでしょうか?よく質問されるポイントかと思います。どのように考えていますか?
中村
そこはシンプルで、まず我々が保有しているデータベースは匿名加工処理が施されたものであり、次世代医療基盤法の対象にあたらないという点です。
現時点の見解としては認定事業者となり次世代医療基盤法のレギュレーションに沿った新規のデータを改めて収集するモチベーションはないと各製薬会社さまにもご説明しました。
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(次世代医療基盤法の)認定事業者ではなくとも、今あるクライアントニーズには応えられるということですか?
中村
私たちの保有するデータベースで、現在のクライアントニーズには対応できると考えています。また、まだ十分と言えるデータ数は集まっていませんが、当社のPHR(パーソナルヘルスレコード)システム「カルテコ」によって個人からの許可を得た、オプトインデータの収集を進めています。これにより、将来的には次世代医療基盤法の対象データ以上の活用範囲に拡大していくと考えています。今後もこの二つの軸で取り組んでいくつもりです。
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現在は製薬会社さまを主要なクライアントとしていますが、徐々に保険業界にもデータ利活用の提案をしています。現在の状況を踏まえて、データビジネスの今後の可能性についてはどのように考えていますか?
中村
そう言った意味では、現在の2つのカテゴリーは当然今以上に進めてまいりますが、そこ以外の領域についても注力をしていきたいと考えています。
私たちは、まず患者さんたちに対して、ビジネスとは別軸で情報提供を行いたいと考えています。具体的には、「あなたのようなパラメーターを持つ方は、今後このような疾患になりやすい傾向があります」といった予測情報を提供することや、医療機関に対しても、多様なデータを活用して予測情報による気づきを提供することによって、医療の質を高めることを目指しています。
このように、ビジネスというよりも社会課題の解決に取り組むことで、ひいては明確な患者メリットの創出につなげていきたいと考えています。
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次に、現在保有されているデータ以外の医療データにはどのようなものがあり、それぞれそのデータの価値についてはどう考えていますか?
中村
当社が保有するデータ以外で、最もよく話題に上がるのは、間違いなく電子カルテデータです。多くの方が、「電子カルテはとにかく最強のデータである」と考えているような印象もあります。
確かに、電子カルテデータに価値があることは間違いありません。検査の情報や結果、画像の情報を踏まえた所見なども含まれており、それによるさまざまな気づきは多いと思います。しかし、「全てを電子カルテデータのみで分析していくのが正解なのか」と考えた場合、例えば、患者さんの病歴や診療行為などはレセプトやDPCでも十分に把握可能です。まずは目の前の課題に対して、必要なデータとは何かを考え、必要に応じて組み合わせていくことが重要です。
他にも例えば、患者さんがなぜ病院に来たのかをきっかけに問診データで追っていくのも面白いですし、患者さんが受診した治療内容に対してどんな不安を抱えているのか、さらに日常の記録としてのライフログと組み合わせて分析していくといったことが今後、価値となっていく可能性はあると思っています。
電子カルテデータも含めた将来的な部分についてですが、海外では国が指定したフォーマットに準拠したデータを作成し、様々なデータがオープンになる流れが進んでいます。日本ではまだ時間がかかる印象ですが、同様の状況になっていったら良いなとは思っています。その場合、それぞれのデータにはどういった活用シーンがあり、そしてどうやって社会実装をしていくべきなのかという視点を持つことが大事だと考えています。