敗血症性ショック患者の死亡率に対する集中治療室対高依存性治療室入院の効果:日本の請求データを用いた後方視的コホート研究
Koji Endo, Kayoko Mizuno, Tomotsugu Seki, Woo Jin Joo, Chikashi Takeda, Masato Takeuchi & Koji Kawakami
題名 | Intensive care unit versus high-dependency care unit admission on mortality in patients with septic shock: a retrospective cohort study using Japanese claims data |
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著者 | Koji Endo, Kayoko Mizuno, Tomotsugu Seki, Woo Jin Joo, Chikashi Takeda, Masato Takeuchi & Koji Kawakami |
出典 | Journal of Intensive Care |
領域 | 敗血症 |
Intensive care unit versus high-dependency care unit admission on mortality in patients with septic shock: a retrospective cohort study using Japanese claims data – PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35869538/
背景
敗血症性ショックは、集中治療を必要とする生命を脅かす一般的な疾患である。日本の集中治療室(ICU)は、常勤の集中治療専門医の有無と看護師の配置数により、ICUと高信頼性治療室(HDU)に分類される。他の先進国と比較して、日本では集中治療室のベッド数および集中治療認定医が少ないため、非集中治療専門医がHDUで敗血症性ショック患者を治療することが多い。しかし、ICUとHDUの治療成績を比較した研究はなく、敗血症性ショック患者をどこで治療すべきかは不明である。本研究では、ICUとHDUの入院患者の死亡率データおよびリソース使用量を比較することにより、敗血症性ショック患者をどの病棟に入院させるべきかを明らかにすることを目的とした。
方法
本レトロスペクティブコホート研究では、日本全国の行政データベースを用いて、2010年1月から2021年2月の間にICUまたはHDUに入院した敗血症性ショックの成人患者を同定した。入院当日のICUまたはHDUへの入室状況により2群に分けた。主要アウトカムは、Cox回帰分析を用いて共変量で調整した30日間の全死因死亡率とし、副次アウトカムはICUまたはHDUの滞在期間と在院日数とした。
結果
敗血症性ショックによる対象入院10818件のうち、6584件がICU群、4234件がHDU群であった。Cox回帰分析の結果、ICUに入院した患者は30日死亡率が低かった(調整ハザード比:0.89、95%信頼区間:0.83-0.96、P = 0.005)。線形回帰分析では、在院日数、ICUとHDUの在院日数に有意差はなかった。
結論
敗血症性ショック患者において、ICU入室と30日死亡率の低下との間に関連性が認められた。これらの知見は、より適切な治療システムを構築するために不可欠な知見となり得る。