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慢性腎臓病と睡眠時無呼吸症候群の患者における死亡率と心血管イベントRWD × 医学論文解説

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論文紹介

本論文では、慢性腎臓病患者における睡眠時無呼吸症候群の併存の有無ならびに在宅持続陽圧呼吸療法が生命予後に与える影響についてMDVデータを用いて検討したものである。論文には分析に用いた事象、疾患等のコードが明示されているため同様の検討の際に参考となるものと思われる。

慢性腎臓病と睡眠時無呼吸症候群の患者における死亡率と心血管イベント

Yu Watanabe, Akihito Tanaka, Kazuhiro Furuhashi, Shoji Saito and Shoichi Maruyama

題名Mortality and Cardiovascular Events in Patients With Chronic Kidney Disease and Sleep Apnea Syndrome
著者Yu Watanabe, Akihito Tanaka, Kazuhiro Furuhashi, Shoji Saito and Shoichi Maruyama
出典Frontiers in Medicine
領域慢性腎臓病

Mortality and Cardiovascular Events in Patients With Chronic Kidney Disease and Sleep Apnea Syndrome – PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35712093/

背景

慢性腎臓病(CKD)患者では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症率が著しく高いことが報告されている。SASがCKD患者の予後に影響を与えるかどうかを知ることは非常に重要である。さらに、SASの最も一般的な治療法の一つである在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)が予後に及ぼす影響を把握することが不可欠である。

方法

診断コードを用いてCKD患者を特定するために、臨床データベースを使用した。20歳以上のCKD患者で、腎代替療法を行っておらず、1年以上腎機能の変化が確認されている患者を対象とした。傾向スコアを用いて、SAS併存患者とSAS非併存患者のイベント発生率を比較した。さらに、CPAP療法が予後に与える影響も検討した。主要評価項目は、死亡、腎置換療法の開始、心不全、虚血性心疾患、脳血管疾患による入院の複合アウトカムとした。

結果

データベースから、SAS非併存CKD患者31,294例、SAS併存1,026例が対象として適格であった。このうち、SAS併存患者の419例(41%)、SAS非併存患者の10,713例(34%)が主要評価項目に到達した(P < 0.01)。傾向スコアで調整後、SAS併存群は同様に予後不良であることがわかった(P < 0.01):主要評価項目のハザード比は、SAS非併存群と比較してSAS併存群で1.26(95% CI, 1.08-1.45, P < 0.01)であった。逆に、SAS併存のCPAP使用患者では、ハザード比は低く、有意差はなかった(HR 0.96、95%CI:0.76-1.22、P = 0.76)。

結論

SAS併存CKD患者では、死亡と心血管疾患のリスクが高い。また、CPAP治療患者は、生命予後が改善される可能性がある。


前田 玲

日本薬剤疫学会 認定薬剤疫学家
外資系製薬会社にて20年以上医薬品安全性監視関連業務(RMP、使用成績調査等)に従事してきた。また業界活動を通して薬機法、RMP、GPSP、データベース・アウトカムバリデーション関連の通知類に対してコメントしてきた。現在、MDV社等の顧問として医薬品の安全性管理の観点より助言している。

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