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せん妄患者の人口統計学的および臨床的特徴:日本全国規模の医療データベースの分析RWD × 医学論文解説

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論文紹介

MDVを用いて入院中のせん妄患者における抗精神病薬の使用実態を記述的デザインで研究しました。研究対象の患者における抗精神病薬の使用実態が判明しましたので、今後はせん妄と薬剤との因果推論等のリサーチクエスチョンを生成し明確にされることを期待したいと思います。

せん妄患者の人口統計学的および臨床的特徴:日本全国規模の医療データベースの分析

Naoya Ueda, Masakazu Igarashi, Kotoba Okuyama, Hideki Sano, Kanae Takahashi, Zaina P Qureshi, Shigeru Tokita, Asao Ogawa, Yasuyuki Okumura, Shoki Okuda

題名Demographic and clinical characteristics of patients with delirium: analysis of a nationwide Japanese medical database
著者Naoya Ueda, Masakazu Igarashi, Kotoba Okuyama, Hideki Sano, Kanae Takahashi, Zaina P Qureshi, Shigeru Tokita, Asao Ogawa, Yasuyuki Okumura, Shoki Okuda
出典BMJ Open
領域せん妄

Demographic and clinical characteristics of patients with delirium: analysis of a nationwide Japanese medical database – PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36104137/

目的

せん妄は入院中に発生することが多く、特に高齢者では死亡率の上昇と関連している。本研究は、請求データと退院時データからなる全国規模のデータベースを用いて、日本の実臨床におけるせん妄患者の人口統計学的および臨床的特徴を明らかにすることを目的とした。

デザイン

本研究は、ICD10コードに基づく診断によりせん妄が確認された入院患者、または入院中にせん妄治療に推奨される抗精神病薬を開始した患者を対象とした観察的、横断的、レトロスペクティブ研究であった。

設定

日本国内の400以上の急性期病院を含むMedical Data Visionデータベースに入院から退院までの情報が存在する患者を対象とした。

参加者

2012年4月から2020年9月までにデータベースに登録された32,910,227人のうち、せん妄の基準を満たした患者は合計145,219人であった。

主要および副次的なアウトカム指標

せん妄患者における人口統計学的特徴およびベースラインの特徴、併存疾患、臨床プロファイル、薬物療法を評価した。

結果

患者の平均(SD)年齢は76.5(13.8)歳であった。患者の半数以上(n=82,159;56.6%)は男性であった。併存疾患は循環器系疾患が最も多く、81,954名(56.4%)に認められた。ベンゾジアゼピン系やオピオイドなどせん妄のリスクを伴う薬物(PIM)は76,798人(52.9%)に処方されていた。これらの患者の約3/4(56,949;74.2%)は、4種類以上のPIMを処方されていた。
せん妄に対する最も処方された治療薬は注射用ハロペリドール(n=82,490; 56.8%)であった。平均(SD)入院日数は16.0日(12.1日)であった。

結論

本研究の結果は、日本の急性期医療におけるせん妄患者の臨床的特徴および抗精神病薬による治療パターンの包括的な詳細を提供するものである。この患者層では、注射用ハロペリドールやPIMの処方率が高く、せん妄の適切な管理について医療従事者の理解を深める必要があり、それが患者の利益となることが示唆された。


下寺 稔

ウェルディーコンサルティング 代表
日本薬剤疫学会 認定薬剤疫学家
MSD株式会社にて、安全対策業務、使用成績調査、製造販売後データベース調査、及び疫学関連業務を担当した。2021年にリアルワールドデータコンサルタントとして事業を開始し、安全性監視計画及び、製造販売後データベース調査を中心とするリアルワールドデータに関するコンサルティングを行っている。

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