中村
皆さん、こんにちは、メディカル・データ・ビジョンの中村と申します。
MDV EBM insightというサイトの中で今回、私がアライアンス推進担当も兼ねていることから、当社と関連のある会社様との対談企画をスタートいたしました。
その第1弾として本日は、レイヤードの毛塚さんに来ていただいております。
毛塚さんありがとうございます。
では、まず毛塚さんを簡単に自己紹介からお願いできますか?
毛塚 牧人 株式会社レイヤード 代表取締役社長
外資系コンサルティング会社マネージャー、医療系ベンチャー取締役を経て、2008年より現職に従事。 医療機関向けサービスの企画から開発・営業展開まで幅広く担当。
毛塚
株式会社レイヤードの代表をしております毛塚と申します。
もともと外資系のコンサルティング会社からキャリアをスタートし、1社の医療系のベンチャーを挟んで、2008年から現職に勤めております。
弊社は1998年創業の26期目の会社で、主に診療所向けの予約やWEB問診、オンライン診療、決済など、患者さんの動線設計をDX化することをテーマに事業展開しております。
中村
では、なぜMDVとのアライアンスを考えたのか、毛塚さんのご意見をお聞かせいただけますか?
毛塚
はい、弊社はこれまで、患者さんの動線設計、いわゆる生活者の方・患者さんが医療機関に受診する際、いかにスムーズに、滑らかにしていけるかをテーマに取り組んできました。
やはり、コロナ禍を経て、昨今は様々な場面でDX化が進んでいる中で、医療のDXはまだまだ、現場でデータ活用をするところまでは進んでいないなと感じています。私たちもツールを提供するだけではもったいないなと思い始め、そこで医療データに興味を持ち始めたのがもともとのきっかけです。
そんな中、医療データの利活用では非常に先進的な取り組みをされているメディカル・データ・ビジョンさんとぜひご一緒して、新しいビジネスモデルを一緒につくっていけないかと考え、是非にとお声がけさせていただきました。
中村
ありがとうございます。
当社がレイヤードさんとご一緒したかったところとしては、医療に関するサービスを提供する企業の中では、それぞれの事業領域において部分的にでも内容が重なってしまうケースは当然多いですが、そんな中でレイヤードさんは診療所をメインターゲットとし、私たちは大規模病院を対象とし、提供するサービスもレイヤードさんは診療所の運用におけるDX化の支援、私たちは経営支援の医療関連サービスを提供しています。ここまで重複していないビジネスをされている会社さんはすごく珍しいと感じました。
以前お話した際にも、医療データの価値をどんどん高めていきたいという思いの中で、私たちは病院からデータを取得し、レイヤードさんは患者さんのパーミッションを得た上でデータを集める、この2つが組み合わさるとすごい価値が生まれるのではないかとお話ししたのが、レイヤードさんと組みたいと思ったきっかけです。
毛塚
私たちは診療所の運用支援の中で得られるデータをもっており、予約や問診で患者さんのパーミッションを取ることもできます。ですので、個人情報の利活用という部分まで踏み込める活用の仕方ができるのですが、そこをどう活用すれば良いのか?例えば経営につなげるとか、データ分析につなげるといった部分ではまだ私たちは弱いです。そういう意味で当社とMDVさんとクロスで組むことで、足りないピースが埋まるところはやはり価値になるのではないかと考えました。
中村さんと初めてお話しした際に感じた、「人としての相性」みたいなものが大きいかなと思っています。その時中村さんもおっしゃっていましたが、「MDVはなんでも自分たちでやりたがるところがある、とは言えやはりできない部分はある、だから組んでいきたい」と。私たちも以前、データの利活用を自社でやろうと製薬会社さんと話してみたことがありますが、これは自社でやっても正直とてつもなく時間がかかると感じました。そういう意味では、やはり信頼できる人や会社と組んでやる方が、世の中に対してのバリューが高くなると思いますし、それがアライアンスなのかなと思います。
中村
なるほど。改めてお話ししてみて、このアライアンスで互いが埋め合っていこうとしている領域は、もしも御社と組まずに自社でやろうと思っても実際はなかなか難しい部分だろうなと感じますね。
毛塚
そうですね。私たちから見れば、MDVさんは医療データの領域において、データをどう販売していくかについてのノウハウが非常に高いと感じています。逆に中村さんも私たちと組んでいただくことで、診療所の運用を支援させていただく上での複雑さやある種の面倒くささも感じていただいていると思います。私たちはそこに対して高いプライドを持って取り組んできましたので、そういった面でも互いに何かを提供できる部分があると考えています。
中村
本当にそうだと思います。診療所の先生方はどこに悩みをお持ちなのか?そのペインポイント(お金をはらっても解決したい課題)も病院とは異なる点が多くありました。その点についてもこれから自分たちでヒアリングして回るのではなく、毛塚さんやレイヤードさんから情報を得られること、そして私たちにはデータ利活用に関する知見があり、それを提供できる環境があることはお互いにとって本当に良いことだと思います。
中村
では毛塚さん、次にこの先一緒にやっていきたいと考えていること、未来についてお話いただけますか?
毛塚
そうですね。私たちのプロダクトは、患者さんと医療機関の間にまたがっているので、単に医療機関や医師が患者の話を聞いて電子カルテに書くことよりも、もっと手前の「患者の気持ち」みたいな部分をデータ化できるところが私たちの一番の価値だと考えています。
これからの疾患動態の研究として注目されるものは、今後10年や20年で大きく変わってくると思います。糖尿病や高血圧などから、もう少し精神疾患に近いものや、患者さんのアウトカムが重要になってくるような疾患が、これから発展を遂げていく領域だと思います。
そこで私たちは患者さんのアウトカムを収集することはもちろんですが、治療した結果、患者さんの症状がどう変化したのかをほぼリアルタイムに把握し、さらに追加の研究をしていくことができる、そうした部分にも踏み込んでいきたいと考えています。
毛塚
私たちはメディカル・データ・ビジョンさんが持っているような大規模なデータを持っていませんが、私たちがスクリーニングをして、患者さんのより深いインサイトを研究に生かしていける、そういったところを今後、取り組んでいきたいと思っています。
中村
MDVは様々なデータを持っています。その中には検査結果値や、単体で保有するeProなども含め、数多くの定量データを保有しており、十分な価値はあると思っています。しかし、患者さんがその治療に対してどう感じているかなどの定性的な部分も非常に大事な点であり、それはこれまでなかなか私たちがアプローチできていない部分です。 治療介入の背景情報が分類された状態で、かつ患者さんからのフィードバックが得られることは非常に重要だと思いますので、そういった情報に対して今後取り組んでいきたいと考えています。
また、レイヤードさんのWEB問診なども含めて、事前に患者さんがどのように治療に入ってきたのかは非常に重要な部分です。さらに今、御社と取り組もうとしている音声データの取り扱いにも関連してきますが、今後、疾患領域はどんどんスペシャリティーに入っていく中で、今後は医師側だけの情報ではなく、まず患者さんがどのように訴えたのか、それを把握することによって疾患が検出できる未来もありえるのかと思っていますので、そういった領域にもご一緒に取り組んでいけたらと思います。
毛塚
例えば地域によって患者さんの言葉遣いに差異があったり、医師の解釈の仕方も多少の“ゆらぎ”があったりします。ということは医療とはコミュニケーションとしての文系的な領域と、MDVさんが携わっているデータなどの理系的な領域の組み合わせであり、そうしたところを大規模なデータの中で解析が進んでいくと非常に面白いと思います。
中村
そうですね。将来的には患者さんの実際の感情などの情報を取り扱い、新しい疾患の発見や健康寿命の延伸、未病の領域にまで取り組んでいけると素晴らしいですね。
毛塚
本当にそうだと思います。
中村
毛塚さんとはいつもいろんなお話をさせていただいていますが、改めてこうして対談をすると、お互いの考えのレビューにもなり、良かったなと感じます。
本日はありがとうございました。
2023年9月21日のプレスリリース
中小規模、診療所も含めた全医療機関向けサービスを開始 メディパルHD、レイヤードなどのネットワークを活用
レイヤード株式会社 https://layered.inc/