急性COVID-19患者におけるメチルプレドニゾロンパルス静注療法と院内死亡リスク:全国規模コホート研究
Takuhiro Moromizato, Ryoto Sakaniwa, Yasuharu Tokuda, Kiyosu Taniguchi & Kenji Shibuya
題名 | Intravenous methylprednisolone pulse therapy and the risk of in-hospital mortality among acute COVID-19 patients: Nationwide clinical cohort study |
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著者 | Takuhiro Moromizato, Ryoto Sakaniwa, Yasuharu Tokuda, Kiyosu Taniguchi & Kenji Shibuya |
出典 | Critical Care |
領域 | COVID-19 |
Intravenous methylprednisolone pulse therapy and the risk of in-hospital mortality among acute COVID-19 patients: Nationwide clinical cohort study – PMC
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9906603/
背景
ステロイドは、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)に関連する炎症反応を調節するために広く使用されている。しかし、COVID-19の急性期治療におけるステロイド使用の至適上限用量は依然として不明であり、現在入手可能なデータは、このパンデミック時の治療が絶望的な状況であったことから、有効性がない、あるいは因果関係が逆転しているという時間依存性のバイアスに苦しんでいる可能性がある。したがって、本研究の目的は、時間依存性バイアスをコントロールすることにより、COVID-19患者の院内死亡リスクに対するメチルプレドニゾロン静注パルス療法(1日500mg以上)の影響を明らかにすることであった。
方法
2020~2021年に日本国内の438病院で入院した急性COVID-19患者67,348例を対象に前向きコホート研究を実施した。メチルプレドニゾロンパルス静注療法が院内死亡リスクに及ぼす影響を、侵襲的機械的換気(iMV)の状況によって層別化し、ハザード比(HR)および95%信頼区間(95%CI)に基づいて検討した。時間依存性のバイアスは、メチルプレドニゾロン療法を受けていない患者を参考に、限界構造モデル解析でコントロールした。
結果
研究期間中に2400例の患者が死亡した。メチルプレドニゾロンパルス療法なし、ありのiMV非発症患者の院内死亡率はそれぞれ2.3%、19.5%であり、iMVを受けた患者の院内死亡率はそれぞれ24.7%、28.6%であった。限界構造モデル分析の結果、メチルプレドニゾロンによるパルス療法は、iMVを受けた患者の院内死亡リスクの低下と関連していた(HR 0.59;95%CI 0.52-0.68)。一方、メチルプレドニゾロンによるパルス療法は、iMVを受けていない患者の院内死亡リスクを増加させた(HR 3.38;95%CI 3.02-3.79)。iMVを受けた患者に対するパルス療法の有益性は、中用量/高用量(40~250mg静注)のメチルプレドニゾロンによる治療を受けた患者よりも大きかった(HR 0.80;95%CI 0.71-0.89)。
結論
本研究の結果から、メチルプレドニゾロンの静脈内投与は用量反応効率を示し、パルス療法はiMVを必要とするような急性COVID-19の重症患者に有益であることが示唆された。