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デジタルヘルスケアとは? 重要性と課題、利用される技術について解説 #77

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デジタルヘルスケアとは、医療・健康分野へのデジタル技術の活用のことです。健康寿命の延伸、医療格差の是正、医療業務の効率化などの観点から重要とされています。また最近は、AIなどのデジタル技術だけでなく、5Gのような情報通信技術の進歩により、デジタルヘルスケアを推進する基盤が整備されつつある状況です。

本記事では、デジタルヘルスケアの概要、重要性や課題、利用される技術を解説します。

デジタルヘルスケアとは

デジタルヘルスケアとは、医療や健康管理などの分野でデジタル技術を活用することです。データに乗っ取った予防医学の促進や、居住地にとらわれない健康の促進、データ活用による医療の質の向上などが期待されています。

デジタル技術では、ビッグデータの解析やAI(人工知能)、ウェアラブルデバイスなどが具体例として挙げられます。デジタル技術を医療に活用した例としては、オンライン診療処方やアプリの活用、PHR(Personal Health Record)などが有名です。

デジタルヘルスケアの重要性と課題

デジタルヘルスケアは医療費の増加をはじめとする、さまざまな医療課題を解決する上でも重要です。しかし、日本は諸外国に比べて導入に遅れを取っているのが現状です。

ここからは、デジタルヘルスケアの重要性と、その課題を解説します。

デジタルヘルスケアの重要性

デジタルヘルスケアの増進は、患者の健康寿命を延ばすとともに、医療業界の人手不足解消や、業務の効率化を目指すために重要な施策です。

今後、超高齢化社会を迎える日本では、高齢者の医療費増加が問題視されています。
また医療業界では、医療従事者の不足に加え、業務の非効率性も指摘されています。

そこで、オンライン診療処方や健康管理アプリなどの開発が進められています。患者の健康寿命を延ばし、高齢者の医療費を抑えようという狙いです。

さらに電子カルテをはじめとする、医療現場のDX促進は、業務の効率化につながります。またオンライン診療を用いれば、医師不足による医療の地域格差緩和に役立つと考えられています。

デジタルヘルスケアにおける現状の課題

日本は海外に比べて、医療分野のデジタル化が遅れているとされています。例えば、オンライン診療や電子健康記録(EHR)に対応している病院はわずかでしょう。

また、デジタルヘルスケアの活用は世代間でも差があり、特にデジタル機器に慣れ親しんでいない中高年から高齢者の間では、活用意欲が低い傾向にあります。本来活用してほしい世代への普及活動が、今後の課題となっています。

デジタルヘルスケアに利用される技術

デジタルヘルスケアにはAIやチャットボット、ビッグ データ解析技術などさまざまな技術が利用されます。下記にて代表的なものを解説します。

AI

AI(人口知能)は、医療現場のあらゆるシーンで活用が期待されています。例えば、従来であれば医療従事者が内容を一つひとつ確認していた問診票も、AIを活用すればある程度自動的に病名の候補選択が可能です。

また、医師不足が課題とされている画像診断の分野でも、放射線科医の読影をAIが補助できれば、業務効率の向上も期待できます。

チャットボット

チャットボットの自動回答機能を使えば、年中無休で患者からの問い合わせに対応できます。緊急性の高い内容のみ、医療従事者が対応するといった分業も可能です。また、予約や問診票の記入など、受付業務の効率化にもつながるため、待ち時間の短縮にも期待できます。

5G技術

第5世代移動通信システムの5G技術では、従来以上に大容量のデータを高速で、かつ、遅延なく、複数の機器と同時に通信できます。この技術を医療現場に生かせば、検査画像の早期共有も可能です。また、手術中にリアルタイムで映像を共有し、執刀経験の多い医師からアドバイスを得る、というような使い方もできるでしょう。

VR(仮想現実)

VRとは、人間の五感を同時に刺激することにより、人工的に作られた仮想空間を、あたかも現実であるかのように臨場感をもって体感できる技術です。医療分野にVRを活用できれば、人体に即した3Dモデルを使ってより具体的に医療を学んだり、体験できたりします。また、患者の治療が必要な部位をVR空間で再現すれば、医療従事者全員で手術の事前演習も可能です。

ビッグデータ解析技術

ビッグ データ解析技術とは、大容量かつ多種多様なデータを分析し、有用な知見を得るための技術です。医療現場であれば、問診データ・検査画像データ・投薬データなどの分析により、新たな治療方法の発見・確立、新薬創製などに役立ちます。またデータを元に、患者一人ひとりに対して適切な医療の提供も可能となります。

デジタルヘルスケアは医療の均一化や質の向上に役立つ

デジタルヘルスケアは健康寿命延伸による高齢者の医療費の削減や、都心と地方の医療格差の緩和、医療業務の効率化などの側面から重要視されています。

特に、近年ではAIや5Gなどの技術革新により、デジタルヘルスケアを進める土台が整ってきています。今ある課題を 解決する ためにも、医療分野のDXを進めましょう。

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