コラム

PHRとは?取得データの特徴やEHR/EMRとの違いについて解説 #90

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PHRは健康や医療に関するデータを一元化し、個人で管理・活用していくためのシステムです。またEHRやEMRも同じく医療の分野で扱われるものですが、PHRとはデータの範囲や活用の仕方に違いがあります。

取得できるデータの特徴を知ればシステムが理解しやすくなり、自分自身や家族の健康管理につなげることが可能です。本記事では、PHRやEHR、EMRでそれぞれ取得できるデータの特徴や違いについて解説します。

PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)とは

PHRとはPersonal Health Recordを略した語で、日本語では生涯型電子カルテと呼ばれています。特定の人物の医療や健康に関するさまざまなデータをデジタルで一元化し、ユーザー本人が情報を活用するための仕組みです。

対象となる主な情報

PHRで取り扱うデータは、以下が対象です。

  • ライフログデータ(体重・血圧・運動・脈拍・食事・睡眠など)
  • 医療機関での診察・検査・投薬などのデータ(共有に同意されたもの)
  • 健康診断を受けた結果
  • 幼い頃からの既往歴
  • アレルギーの有無や治療の内容
  • 妊娠・出産の経験がある場合はその経過 など

2025年には人口比率の高い団塊の世代が75歳以上となるため、さらなる病床不足が予想されます(※)。そこで国は、2014から病床機能報告制度を開始してデータを集め、病床数の再編を図ってきました(※)。

取得する上での特徴

生涯型電子カルテとはいっても、PHRは医療機関ではなく、ユーザー一人ひとりが個人のスマートフォンなどのデジタルデバイスでの管理を前提にしています。病院や施設が異なっていたり、診察時期に間隔が空いたりしても、同一人物の情報として時系列で蓄積していきます。

またPHRで取得できるデータは医療機関から共有されたものに限らず、多岐にわたるのが特徴です。病院での診察や治療、投薬を受けるような状態でなくても、健康診断や妊娠・出産などでも医療や健康に関わるデータは発生します。

さらに、スマートフォンのアプリやウェアラブルデバイスなどで取得したライフラグデータも、PHRで活用できる情報です。PHRとは健康上で何か異変があったときだけでなく、継続的に日常データなども含めて取得していくという特徴があります。

EHR/EMRとは

EHRやEMRも医療に関する情報を記録するものですが、PHRとは取得・管理されるデータの範囲が異なります。

「EHR」とは

EHRとは、Electronic Health Recordを略した語で、日本語では電子健康記録、あるいは生涯医療記録と呼ばれています。EHRは病院や診療所が患者に対して医療サービスを提供したときのデータを、異なる医療機関の間でも共有できるようにする仕組みです。

従って、基本的にEHRで取り扱う情報は、医療機関が患者の診察や治療の過程で取得したものです。例えば、診断や検査の結果、治療、投薬内容の他、既往歴や血圧、体重、アレルギーなどが該当します。PHRほど範囲が幅広いわけではなく、EHRでは日常的・継続的なデータは取得されないのが特徴です。

EHRによるデジタルデータの共有ができれば、診療科目や組織の垣根を越えて、初めて診察をする医療機関でも患者の病状や既往歴、体質などを把握しやすくなります。患者としては、より適切で効率的な医療サービスを受けられる可能性があります。

「EMR」とは

EMRとは、Electronic Medical Recordを略した語で、日本語でいえば電子医療記録にあたります。EMRで取り扱うデジタルデータは、EHRと同じく医療機関が患者の診察や治療をする過程で取得したものです。データの内容は診断や検査の結果、治療、投薬、既往歴などであり、ライフログのような日常的・継続的なデータが取得されない点はEHRと変わりありません。

ただし、EMRは取得したデータを異なる医療機関に閲覧できるようにしたり、譲渡したりすることを想定しておらず、一つの医療機関の中でのみ運用されるのが特徴です。要はシンプルな電子カルテであり、従来、紙に記載していたカルテをデジタルへと切り替えたのがEMRです。

EMRのデータは同じ医療機関内での運用で、医療サービスの効率化に役立てられます。医療従事者が医療行為のために取得する情報であり、患者の閲覧・活用は想定外です。

PHR・EHR/EMRで取得できるデータの違い

PHRとEHR/EMRでは、取得できるデータの内容や範囲に違いがあります。大きな理由は誰が管理・活用していくのかという主体や、取得する目的が異なっています。

PHRでデータを管理・活用するのは個人です。PHRで取得できるデータは、医療機関で提供されたものの他、健康診断やライフログなど幅広い内容が含まれます。

PHRは、健康や医療に関わる個人の情報を自分自身や家族が総合的に把握することが主な目的です。いざというときに、より適切な医療サービスが受けられるだけでなく、日常の健康維持や疾患予防に貢献することが期待されています。

一方のEHRやEMRでは、データを管理・活用するのはあくまでも医療機関であり、データの範囲は医療の現場で取得できたものに限られるのが現状です。データの活用は医療サービスの向上に関わってきます。

PHRとは健康・医療データを各個人で管理するシステム

PHRとは医療や健康にまつわる情報を各個人で管理・活用するものであり、取得できるデータの幅が広いのが特徴です。EHRやEMRは、医療機関が主に医療の現場で取得したデータを管理・活用するシステムであり、その点でPHRとは異なっています。

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