中村
皆さん、こんにちは。本日はご視聴いただきましてありがとうございます。
このEBM insight.の企画で、当社メディカル・データ・ビジョンが提携している会社様との対談動画をお送りしております。
第2回のゲストは、TXP Medical代表取締役の園生さんをお招きしております。
園生さん、よろしくお願いします。
では、まず簡単にご自身の自己紹介と御社についてお話いただけますか?
園生 智弘 TXP Medical 株式会社 代表取締役
現役の救急集中治療専門医。2017年にTXP Medical を起業。急性期を中心とした医療領域へのサービス提供のみならず、医療DX の専門家として各方面に積極的な発信を行う。
園生
今日はお招きいただきありがとうございます。
もともと私は救急集中治療の専門医をやっておりまして、その現場である、病院の救急集中治療領域、急性期領域の課題を解決するために、当初は自分でデータプラットフォームを開発し、病院の中で運用していましたが、これは事業として成立すると思い立ち、8年目の2017年にTXP Medicalという会社を立ち上げました。
当社TXP Medicalでは、医療データで命を救うというミッションを掲げ、現在は医療機関向け、救急隊や自治体向け、製薬会社向けと、幅広く事業を展開しております。
今回、メディカル・データ・ビジョンさんとの事業提携は、その中の製薬企業向けの医療データ事業がメインとなっております。
では、私たちの事業に関して少しご紹介させていただきます。
当社の事業としては、主に病院向けのサービスであるNEXT Stage ERやNEXT Stage ICUという仕組みがあります。
これらのサービスに付随して、他にも病院には救急外来以外の病院間の転院搬送や、臨床研究の実施、そういったサービスも必要とされますので、転院搬送を支援するNEXT Stage CONNECT、病院のデータウェアハウスを作っていくDWHというサービス、臨床研究の支援サービス、あとは救急だと付き物で話題になるドクターカー・ドクターヘリの仕組みといったところにも展開しています。
この医療SaaS事業が一番メインにありまして、こちらは既に全国の92病院に導入されており、そのほとんどが400床以上のいわゆる大病院という領域になります。また全国の大学病院で救命救急センターにもなっているおよそ75病院の中でのシェアは約40%になっております。ありがたいことに救急・集中治療の領域では「TXPさんに話をしてみたらいろいろ良い話が聞けるよね」といったプレゼンスを確立しつつあるのかなと嬉しく思っております。
こちらのSaaSを基盤にしつつ、その中に溜まってくる医療データを活用していくビジネス、いわゆる製薬向けのリアルワールドデータの活用サービスを2020年~21年くらいから本格的に開始しています。やはり大病院のリアルワールドデータには難病や希少疾患、急性期疾患、がんなど幅広い領域の患者さんがいらっしゃいますので、そこを活用したサービスを今後注力領域として拡大していく見込みです。
中村
なるほど、ありがとうございます。
もともと救急医をされている中での課題感から起業されたかと思いますが、今のデータビジネスも見越された上での起業だったのか、課題解決をしていく中で色んなデータがたまってくることが見えて今に繋がっているのか、どちらでしょうか?
園生
もともと見据えておりました。
臨床救急医として活動する傍ら、研究も数多く行っておりました。日本における臨床研究は、海外と比べて非常に厳しい状態で、日本人の真面目さから、電子カルテのデータを全て手入力し、それを基にデータ解析を行うという手法をしております。しかし、世界では巨大なデータベースを構築しエビデンスを出してくことが一般的になりつつあります。私はこの領域を急性期のデータを用いて変えたいと考え、データプラットフォームを使用し現場を効率化すると同時に、医療データを適切に研究や製薬向けで提供し、解析を行うことを当初から事業スコープに含めています。
中村
では次に、TXPさんはご自身で持たれているデータ活用の印象が強いかと思うのですが、一方でEDCや臨床研究の支援もされているのは、現場で困っている先生を支援したいという思いからでしょうか?
園生
そうですね。
特に当社がクライアントとしている大病院には、先生自らエビデンスを作成し医療を変えていくという思いを持って行われている方々がいらっしゃいます。この支援サービスというのは、そういった先生方の支持を得るための基盤だと思っています。それに加えて、私たちの事業として成立する要素を横に乗せていただき、取り組ませていただくといったイメージで事業を推進しております。
中村
では、TXPさんが今回MDVと一緒にやってみようと思っていただいたきっかけについて伺えますか?
園生
先程申しました通り、私は臨床と研究のキャリアも積んでいます。そのため、DPCのデータをリサーチャー向けにも提供しているメディカル・データ・ビジョンさんの名前は存じ上げておりました。当社が対象としているドメインは大病院であり、御社のDPCデータの対象病院も原則急性期の病院領域と一致しており、更に400~500病院というネットワークを持ちDPCデータで幅広く研究ができるMDV社と、当社のように深いデータを持っている会社が組み合わさることによって、よりサービスの価値が高まるのではと直感的にずっと思っておりました。
当社の医療データの事業も、始動したばかりの頃は、御社に声をかけるのをためらっておりましたが、今回ある程度当社の事業が立ち上がってきたタイミングで、一緒に取り組むことを提案いたしました。
中村
なるほど、ありがとうございます。
しかし、いざ一緒に何をやろうかといった場合、お互いの考えの根っこが一致しているかどうかが一番大事だと思っており、当社も医療データで世の中を良くしたいという想いをもって事業を展開しておりますので、そこの考えが一致しご一緒できていることは、非常に良かったと思っています。
また、同じ急性期病院ではありますが、当社が病院経営を支援させていただき集まったデータと、御社の臨床側への支援によって集まったデータとでは、中身の広さと深さという点なども含め、実はあまり競合していなかったというところもご一緒できてよかった点です。
次に、今後御社とどのような方向に進んでいくかについてお話をさせていただきます。
当社はもともと10年以上、DPCデータを軸に製薬企業様、アカデミアの先生方に対し臨床研究の支援を行ってきましたので、先生方のニーズに対しデータを用いてなにができるのか様々なご提案をしてきています。この点で、今回組ませていただいてすごく面白いと思っているところが、御社メンバーには臨床医が多くいらっしゃるので、例えば共有しているSlackの中で「こういったことはできますか?」とお伺いした際、みなさんが様々な角度からコメントを書き込んでいただけます。これは新たな提案の視点につながると思いましたし、そこに我々のデータベースの知見が入っていけると更に面白そうだと思いました。
園生
それはまさにそうだと思います。
当社は医師のメンバーが多く、それぞれが専門領域を持って医療×データで何ができるのかを日々考えていますので、彼らは非常にアクティビティが高いです。やはり医療データは解釈の仕方やそれをどうやってエビデンス創出に活かしていくかという、料理に例えますと、素材も大事ですが、調理方法も大事といったような領域だと思っております。料理の仕方に関しては、専門領域の医師がいる当社からいろんな支援もできると思いますし、それによりサービスの価値を更に高めていく要素があると思いますので、かなり親和性の高い連携だと思っています。
中村
そうですよね。
弊社の場合だと、現状広範で様々なDPCのデータが活用できる中で、更にもっと色々な取り組みを行いたいと強い思いを持ったメンバーが多くおりますので、そんな中TXPさんが持っているデータでは更にこんな可能性があるのでは?と、日々検討という名のある種の妄想も広がっています。今後も御社との意見交換の中で、TXPさんの臨床医の先生方のコメントを得ることで、MDVメンバーもデータの専門家としてデータ活用の新たな視点が生まれ、課題解決につながっていくような双方の相乗効果にも強く期待しております。
また、個人的には、当社のデータを使用した際にはより深くそのデータを掘り下げたくなり、一方でTXPさんのデータを使用すると、全体のデータに対する視点も欲しくなっていただけると思っていますので、今後は製薬企業様のニーズにも応えつつ、現場の先生方に対しても情報提供をしていきたいと考えています。
園生
そうですね、まさにそう思います。
中村
最後に現時点で、両社でやりたいことや見えているものはありますか?
園生
やはり医療データの領域では、病院内でより広く深くホスピタルデータを取り、疾患の実態を明らかにすることが非常に重要なポイントだと思っています。
そしてもう1つ重要なトピックとして、プレホスピタルと呼ばれる、病院に来られる前患者の流れ、ペイシェントフロー、アウトオブホスピタル、アウトカムデータがありますが、これらに関しては、現在決定的なソリューションが存在せず、転院後や病院に来る前の情報を追跡することが困難です。この辺はまさにメディカル・データ・ビジョンさんもやられているようなPHRの取り組みだとか、当社も問診のアプリケーションや紹介支援のアプリケーションを使用することによって、プレホスピタルの患者の流れやアウトオブホスピタルでのアウトカムデータの拡充に向けて今後チャレンジしたいと思っております。
中村
なるほど、確かにそうだと思います。特に、希少疾患の場合は、実態把握も大事ですが、ジャーニーの入り口をどう考えるのかが非常に大事だと思います。
また、治療に対して、患者さんがどう感じているのかを知りたいと考えています。ドクターの考えとのギャップというところの把握などもお互いにやれたらいいなと考えています。
園生
そうですね。
中村
ありがとうございました。
色々お話させていただきましたが、手前味噌ですがやはりこの医療×データの真ん中で取り組んでいる2社が組めたことは、今回非常に嬉しく思っております。
本日は改めてありがとうございました。
園生
ありがとうございました。
2024年3月11日のプレスリリース
TXP Medicalと資本業務提携 データ利活用を通じて新たな価値創造にむけて共同提案へ
TXP Medical株式会社 https://txpmedical.jp/