慢性腎臓病患者におけるフィブラート系薬剤と心血管転帰リスク
Hirohito Goto, Ken Iseri, Noriko Hida
題名 | Fibrates and the risk of cardiovascular outcomes in chronic kidney disease patients |
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著者 | Hirohito Goto, Ken Iseri, Noriko Hida |
出典 | Nephrology Dialysis Transplantation |
領域 | 慢性腎臓病 |
PMID: 38012115 PMCID: PMC11139516 DOI: 10.1093/ndt/gfad248
背景
CKD患者における重大なMACEのリスクの高さはよく知られている。しかし、CKD患者におけるMACEリスクに対するフィブラートの有効性は不明である。
方法
150万人以上の日本人患者を含む大規模な医療管理データベースのデータを用いてネステッド・ケースコントロール研究をした。MACEを発症したCKD患者をケースと定義し、年齢、性別、コホート組み入れ暦年、CKD病期に基づいて対照とマッチさせた。フィブラートへの曝露時期は、(指標日に対して)現在、直近、過去に分類した。条件付きロジスティック回帰分析を用いて、フィブラート使用とMACEリスクとの関連を検討した。 ( 訳者注:2018年11月1日から2022年10月31日の間に血漿/血清クレアチニンが少なくとも1回測定された18歳以上の日本人CKD患者の概数)
結果
本研究にはCKD患者47,490例が含まれ、中央値9.4ヵ月の追跡期間中にMACE 15,830例が同定された。研究期間中に使用されたフィブラートの数はケース群で556(3.5%)、対照群で1109(3.5%)であった。フィブラートはMACEリスクの低下と有意に関連し[オッズ比(OR)0.84;95%信頼区間(CI)0.75-0.94]、特に現在使用中(OR 0.81;95%CI 0.68-0.97)および直近使用(OR 0.65;95%CI 0.48-0.90)で顕著であった。フィブラートのクラス効果(薬剤群としての効果)に関しては、ペマフィブラートの使用とMACEリスクの減少との間に有意な相関がみられた(OR 0.73;95%CI 0.528-0.997)が、ベザフィブラートとフェノフィブラートの使用との間には有意な相関は見られなかった。
結論
直近および現在使用のフィブラート、特にペマフィブラートは、CKD患者におけるMACEリスクの減少と関連していた。このことは、継続的なフィブラート療法が有益である可能性と、ペマフィブラートが他のフィブラートよりも優れている可能性を示唆している。しかし、これらの所見の一般化可能性を確認するためには、異なる集団におけるさらなる調査が必要である。