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Medical Data Visionデータベースにおける2020年および2021年のパンデミック第1波から第5波までのCOVID-19患者の特性と院内死亡率RWD × 医学論文解説

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論文紹介

Covid-19の第一波から第五波における院内死亡率について検討した記述研究である。本要約には目的である患者特性や医療資源の利用の変化について言及されていないが、各波における入院患者やウイルス自体の特性の変化が院内死亡に影響していることを示唆するものである。

Medical Data Visionデータベースにおける2020年および2021年のパンデミック第1波から第5波までのCOVID-19患者の特性と院内死亡率

Toshiki Suzuki et.al.

題名Characteristics and in-hospital mortality of patients with COVID-19 from the first to fifth waves of the pandemic in 2020 and 2021 in the Japanese Medical Data Vision database
著者Toshiki Suzuki et.al.
出典Heliyon
領域COVID-19

Characteristics and in-hospital mortality of patients with COVID-19 from the first to fifth waves of the pandemic in 2020 and 2021 in the Japanese Medical Data Vision database – PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37809807/

背景

日本におけるCOVID-19患者の患者特性、医療資源の利用、および院内死亡率について、各波横断的に記述すること。

方法

大規模病院ベースのデータベースを用いて、第1波(2020年1月~6月)、第2波(2020年6月~10月)、第3波(2020年10月~2021年2月)、第4波(2021年3月~6月)、第5波(2021年6月~12月)にCOVID-19で入院した患者を特定した。各波における患者特性、医療資源の利用、院内死亡率を集計し、院内死亡率については多変量ロジスティック回帰分析を行った。

結果

第1波から第5波までの患者数(平均年齢±標準偏差、年齢)は、それぞれ2958例(61.2±22.8歳)、7981例(55.6±25.3歳)、18,788例(63.6±22.9歳)、17,729例(60.6±22.6歳)、23,656例(51.2±22.3歳)であった。院内死亡はそれぞれ190例(6.4%)、363例(4.5%)、1261例(6.7%)、1081例(6.1%)、762例(3.2%)であった。院内死亡の調整オッズ比(95%信頼区間)は、第1波と比較して第2~5波ではそれぞれ0.78(0.65-0.95)、0.94(0.79-1.12)、0.99(0.84-1.18)、0.77(0.65-0.92)であった。

結論

COVID-19による院内死亡率は第1波から第2波にかけて改善したが、第3波と第4波では死亡率は第1波と同様に深刻であった。第5波の院内死亡率は改善したが、患者やウイルスの特性の変化を考慮すると、今後の波には注意深い監視が必要である。


前田 玲

日本薬剤疫学会 認定薬剤疫学家
外資系製薬会社にて20年以上医薬品安全性監視関連業務(RMP、使用成績調査等)に従事してきた。また業界活動を通して薬機法、RMP、GPSP、データベース・アウトカムバリデーション関連の通知類に対してコメントしてきた。現在、MDV社等の顧問として医薬品の安全性管理の観点より助言している。

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