FOLFOX/CAPOX療法後の早期再発大腸癌患者に対するFOLFIRIと血管新生阻害剤または抗EGFR抗体薬の併用療法のリアルワールドエビデンス: 日本のクレームデータベース研究
Yoshinori Kagawa, Chaochen Wang, Yongzhe Piao, Long Jin, Yoshinori Tanizawa, Zhihong Cai & Yu Sunakawa
題名 | Real-World Evidence of FOLFIRI Combined with Anti-Angiogenesis Inhibitors or Anti-EGFR Antibodies for Patients with Early Recurrence Colorectal Cancer After Adjuvant FOLFOX/CAPOX Therapy: A Japanese Claims Database Study |
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著者 | Yoshinori Kagawa, Chaochen Wang, Yongzhe Piao, Long Jin, Yoshinori Tanizawa, Zhihong Cai & Yu Sunakawa |
出典 | Springer Nature |
領域 | 大腸がん |
2024 Jul;19(4):575-585. doi: 10.1007/s11523-024-01063-y. Epub 2024 May
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38691296/
背景
オキサリプラチンを含む術後補助化学療法レジメン(フォリン酸、フルオロウラシル、オキサリプラチン/カペシタビン、オキサリプラチン[FOLFOX/CAPOX])は、結腸直腸癌(CRC)の根治的切除術後に使用される。しかし、術後補助化学療法後の早期再発CRC患者における治療順序と転帰に関するリアルワールドのエビデンスは限られている。
目的
早期再発CRC患者において、術後補助化学療法(FOLFOX/CAPOX)後にフォリン酸、フルオロウラシル、イリノテカン(FOLFIRI)+血管新生阻害薬(AA)またはFOLFIRI+抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体薬を投与された患者の特徴、治療順序、セカンドライン(2L)療法全期間について記述すること。
方法
本レトロスペクティブ研究では、CRC切除術を受け、術後3ヵ月(mo)以内にFOLFOX/CAPOXを開始し、早期CRC再発を認めた成人患者の2014年11月から2023年3月までの日本のレセプトデータを解析した。早期再発は、FOLFIRI+AAまたはFOLFIRI+抗EGFR抗体薬を2L療法として開始し、術後補助化学療法を中止してから12カ月以内と定義した。患者特性、治療順序、治療中止までの期間中央値(mTTD)、すなわち2L療法の開始日から終了日までの期間(Kaplan-Meier法)、および治療中止までの2L期間に関連する因子を試験アウトカムとした(Cox回帰モデル)。早期CRC再発の時期(6ヵ月以下および6-12ヵ月)および腫瘍の辺縁性(左右差)についてサブグループ解析をした。
結果
選択された832例(年齢中央値[最小-最大]67(24-86)歳、男性56.4%)において、術後補助療法としてCAPOX(71.3%)がFOLFOX(28.7%)よりも多く使用された。2L療法ではFOLFIRI+AA(72.5%)がFOLFIRI+抗EGFR抗体薬(27.5%)より多く使用された。AA群と抗EGFR抗体薬群のmTTDはそれぞれ6.2ヵ月(95%信頼区間5.8、6.9)と6.1ヵ月(95%信頼区間5.2、7.4)と同程度であった。「年齢70歳以上」は2L治療期間の短縮と有意な関連を示した(ハザード比1.2、95%信頼区間1.0、1.4;p = 0.03)。AA群のmTTDは、6-12ヵ月の再発サブグループと比較して、6ヵ月以下の再発サブグループでは数値的に短かった(6.1ヵ月 vs 8.1ヵ月)。一方、抗EGFR抗体薬群のmTTDは同程度であった(5.8ヵ月 vs 6.2ヵ月)。AA群と抗EGFR抗体薬群では、左側CRCサブグループでのmTTDは同様であったが(6.5ヵ月 vs 6.2ヵ月)、右側サブグループでは同様ではなかった(5.6ヵ月 vs 3.9ヵ月)。
結論
本論文は、FOLFOX/CAPOX療法後にFOLFIRI+AAsまたはFOLFIRI+抗EGFR抗体による治療を受けた早期再発CRC患者の治療順序と転帰に関するレセプトデータに基づく日本初の実臨床エビデンスである。両レジメンともTTDは同等であったが、再発時期や腫瘍の辺縁性が有効性に影響する可能性がある。