経口糖尿病薬を開始した日本人高齢2型糖尿病患者における腎機能と血糖コントロール達成度との関連に関する医療データベース解析
Ryo Suzuki, Kiyoyasu Kazumori, Tatsuya Usui, Masahiko Shinohara
題名 | Medical database analysis of the association between kidney function and achievement of glycemic control in older Japanese adults with type 2 diabetes who started with oral antidiabetic drugs |
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著者 | Ryo Suzuki, Kiyoyasu Kazumori, Tatsuya Usui, Masahiko Shinohara |
出典 | Journal of Diabetes Inverstigation |
領域 | 2型糖尿病 |
J Diabetes Investig. 2024 Aug;15(8):1057-1067. doi: 10.1111/jdi.14214
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38691296/
背景
新規の作用機序を有する新薬が登場しているにもかかわらず、高齢者および慢性腎臓病を合併した2型糖尿病の患者に対する治療選択肢は依然として限られている。
方法
DPC(医療包括支払制度)病院から収集した医療データベースを用いて、65歳以上の日本人2型糖尿病患者における最初の経口糖尿病薬投与後の3年間の治療状況、血糖コントロール、および腎機能をレトロスペクティブに解析した。
結果
5,434人の研究参加者のうち、3,246人(59.7%)が男性で、年齢中央値は72.0歳、HbA1cのベースライン中央値は 7.1%、推定糸球体濾過量(eGFR)のベースライン中央値は 66.6 mL/min/1.73 m² であった。3年間の観察期間中に40.0%の人で治療が強化され、最初の治療強化までの期間の中央値は198日であった。インスリンが治療強化に最も多く使用された薬剤であった(36.9%、802/2,175)観察開始から360±90日目にHbA1cが7.0%未満に達した患者は3,571人(65.7%)であった。多変量ロジスティック回帰分析の結果、ベースライン時の年齢、HbA1c、およびeGFRは、360±90日目におけるHbA1c 7.0%未満の達成と負の相関を示した。
結論
2型糖尿病を患う高齢の日本人成人では、eGFRが低い人の方がHbA1cを7.0%未満に抑える可能性が高い。慢性腎臓病を患う高齢者の血糖値を安全に管理するためには、医師は、治療に伴う低血糖リスクに常に注意を払う必要がある。