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RSウイルス感染症の年齢別動向と入院率分析

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12月27日は国際疫病対策の日。
新型コロナウイルス感染症が初めて確認されてから約1年が経過した2020年、国連は感染症に対する備えの重要性を認識する日を制定した。
そこで、RSウイルス感染症(Respiratory Syncytial Virus Infection)について調査をした。RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症であり、特に小児に多く見られる。感染率は非常に高く、生後1歳までに50%以上、2歳までにはほぼ100%の小児が少なくとも1度は感染するとされている。

今回、MDVのデータを用いて、年齢別患者数の推移、15歳以下の年齢別患者数の推移、さらに15歳以下の男女別年齢別入院割合を分析した。

最初に、RSウイルス感染症の年齢別患者数の推移について調査した。

対象疾患::0799008RSウイルス感染症、8848687RSウイルス脳症、8830136 RSウイルス肺炎、8830134RSウイルス気管支炎、8830135 RSウイルス細気管支炎
データ対象期間:2019年9月~2024年8月
指定年月のデータが全て揃っている病院のみ
基礎条件該当施設数:174

4歳以降の感染者数は大幅に減少し、成人での感染はほぼみられなかった。また、グラフからは0歳児の患者数が特に多いことが読み取れた。

さらに、15歳以下における年齢別患者数の推移を見てみた。

対象疾患::0799008RSウイルス感染症、8848687RSウイルス脳症、8830136 RSウイルス肺炎、8830134RSウイルス気管支炎、8830135 RSウイルス細気管支炎
データ対象期間:2019年9月~2024年8月
指定年月のデータが全て揃っている病院のみ
基礎条件該当施設数:174

生後1年未満の乳児の患者数が約22,000人と最も多く、1歳になると半減することがわかった。また、6歳以降はごく少数の患者数で推移していることがグラフから読み取れた。

RSウイルス感染症の症状は、発熱や鼻汁などの軽度な風邪様症状から重症肺炎まで幅広く、特に初回感染時には重症化リスクが高いとされている。生後6ヶ月未満での感染では、細気管支炎や肺炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性もある。
このようなRSウイルス感染症の特徴を踏まえ、MDVデータを用いて、15歳以下の男女別・年齢別入院割合を調査した。

対象疾患::0799008RSウイルス感染症、8848687RSウイルス脳症、8830136 RSウイルス肺炎、8830134RSウイルス気管支炎、8830135 RSウイルス細気管支炎
データ対象期間:2019年9月~2024年8月
指定年月のデータが全て揃っている病院のみ
基礎条件該当施設数:174

RSウイルスによる入院は0歳児が最も多く、男女合わせて約50%を占めており、特に男児の方がやや高い傾向にあった。2歳以降は年齢とともに入院率が大幅に低下し、5歳以降ではほとんど入院患者が見られないことがグラフから読み取れた。このことから、RSウイルス感染症の重症化リスクが特に0~1歳の乳児で高いことがわかった。

※本記事は2024年12月2日付で公開されたものです。

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