2022年5月10日(火)のプレスリリース「DeNAと国内最大規模1500万人超の保険者DB構築へ」を踏まえ、翌11日(水)にMDV本社にて、MDVとDeNAの共同記者説明会が開催されました。その模様をお伝えします。
瀬川 翔
DeSCヘルスケア株式会社 代表取締役社長
中村 正樹
メディカル・データ・ビジョン株式会社 取締役
DeNAヘルスケア事業の取り組み
瀬川 翔 DeSCヘルスケア株式会社 代表取締役社長
瀬川:
瀬川と申します。今日、私の方からDeNAのヘルスケア事業の取り組みであるとか、今回のDeSCヘルスケアの取り組みについてお話しさせていただきます。それでは、よろしくお願いいたします。
瀬川:
「DeNAヘルスケアの挑戦」ということで、DeNAが何を目指しているかということと、それにおけるヘルスケア事業の位置づけについてお話しさせていただきます。
瀬川:
まずDeNAのミッションは「一人ひとりに 想像を超えるDelightを」ということで、我々20年超の会社になってまいりましたが、ずっとこだわっているポイントというのが「Delight」という言葉になります。これはゲームやエンターテインメントで、お客様に喜んでいただくということを最も大切にしながらどの事業も展開してきた、というところからこだわっているミッションになります。
瀬川:
DeNAというと、やはりゲームと、もう一つは野球があります。最近なかなか勝てていなくて、ファンの方には申し訳ないなという気持ちがあります。しかし「Delight」ということで、勝っても負けてもファンの方に喜んでいただくのがすごく大事な指標になっております。ヘルスケアに対してもこのポイントを大事にしていきたいという思いでやっております。
瀬川:
DeNA全体で申しますと、左側のエンターテインメントの事業領域というのは非常に強い会社でございます。そこで培ってきたメソッドというものを、スポーツや街づくり、またはヘルスケア事業に対して横展開をすることで、エンターテインメントと社会課題の領域をしっかり事業として中期的に伸ばしていくというところを当社グループは注力しております。
瀬川:
ヘルスケアについては2014年頃から事業展開しております。「健康寿命の延伸・医療費の適正化」はヘルスケア業界では皆様が掲げられていることだと思います。我々は「Delight」という言葉とともに、生活者の方にしっかり向き合ったヘルスケア事業を展開したいというところが、一番にこだわっているポイントでございます。
その中で「健康寿命の延伸」とはどういうことなのかというのを皆で議論した時に、生活者の方一人ひとりが幸せな時間を延ばしていくことじゃないかということで、それができるよういろいろなアプローチで取り組みを続けてきております。
瀬川:
今、DeNAのヘルスケア事業は2014年ぐらいから遺伝子検査の予防のサービスとか、直近でいうと認知症の認知機能の領域の会社もグループに参画していただき、いろいろな事業展開を進めてきているとご理解いただければと思います。
瀬川:
生活者の方にゲームエンターテインメントで培ったそのサービスを喜んでいただくという部分をしっかりご提供して、健康増進をサポートしていくのが我々の一番強い思いになります。本当にいろいろなヘルスケアのサービス健康アプリケーションってあると思うのですが、当社がお役に立てるという意味で言うと、楽しみながら健康になっていただくということかなと思っております。なかなか健康意識が高い方ばかりではない中で、楽しみながら、きっかけは遊びであったとしても結果的に健康意識が高まったり、予防につながったりということが、我々が貢献できる一つのポイントと思っております。
さらに、データサイエンスを含めて元々、培ってきた強みがありますので、サービスを使っていただく中で蓄積されてきたデータについては、アカデミアの方や、製薬企業の方とも利活用をしていきながら、直接的にサービスでこの辺を促していくことと、間接的にはデータを利活用しながら、健康増進、医療費の適正化を様々なステークホルダーの方に届けていきたいというのが我々の思いです。
瀬川:
ここから具体的なDeSCヘルスケアがやっている取り組みをご紹介できればと思います。「Kencom」という健康アプリを主力として進めております。楽しみながら健康になっていただくというもので特徴をご紹介できればと思います。
瀬川:
アプリケーションを使っていただいても、1日で止められてしまっては、なかなか健康増進に寄与できないと思っていますので、できるだけ長い間継続いただくということを一番大事な指標と捉えています。その結果、おかげさまで4年経っても60%ぐらいの方が使い続けていただいております。
これは本当にDeNAでやってよかったかなという一つの成果になっています。アプリケーションの中でウォーキングイベントなどを通じて楽しみながら健康になっていただくということもやっております。実際に歩数含めて健康に資する指標についても良くなってきているところも幾つか出てきております。
瀬川:
では、具体的にどういうサービスなのか、一番分かりやすい事例を1つ持ってきました。よく歩きましょうとか、体重を入れましょうとか、健康活動のミッションみたいなものを頑張っていると、その方に応じたキャラクター育成ができるというものです。
ゲーム制作で培ったメンバーが入ってきて、一生懸命ゲームチックなものをつくりながら行動変容を促していくというところをこだわってやっています。こういったところは、当社グループのサービスの中ではユニークなポイントかなと思っています。
一番良かったこととしては、サービスを始めた結果として体重を登録いただいた方がすごく増えたりとか、男性の利用率が高かったりしたので、女性の方々にももっとご利用いただきたいということで、ちょっとかわいい系のサービスで女性の利用も非常に増えたりしています。どれか1個の機能で、健康行動が全部変わるというよりは、いろいろものを積み上げていきながら、だんだんと行動変容を促していけるようなサービスが引き続きご提供できればと思っています。
瀬川:
我々やはり、単独で今みたいなサービスをつくるということはできたとしても、このいろいろな課題のあるヘルスケアの分野で1社だけでできるとは思っておりません。いろいろな方とパートナーシップを組みながらこれまでも取り組んできております。
具体事例としましては、データヘルス保険事業のデータホライゾンさんですね。自治体様向け大手でナンバーワンを取られている会社と一緒に事業展開をさせていただいております。法研さんは本当に長きに渡って健康保険組合向けにいろいろな事業展開をされている会社ですけども、一緒にパートナーシップを組んで保険事業であるとか、健康増進も含めた取り組みというのをやらせていただいています。その一環で、MDVさんと今回の業務提携を結ばせていただきまして、よりいろいろな形で課題解決が一緒に取り組めればなと思っております。
瀬川:
データホライゾンさんとの取り組みでもう少しご紹介します。データホライゾンさんはこの度、認知症の予防事業という成果を出された会社なのですけれども、ずっと自治体向けにいわゆる保健事業の支援をやられていまして、当社グループはどちらかというと、健保組合であるとか、やはり生活者向けというところがありますので、その両者の強みを棲み分けながらしっかり健保とか自治体のご支援をしていくという事業と、しっかり公益にする形でデータ利活用をしていくということを、両社で結んで今一緒に取り組んでおります。この後、ご紹介するものについても基本的に当社単独というよりは、データホライゾンさんをはじめ、いろいろなあるパートナーさんとの連携で実現しているものとご理解いただければと思います。
瀬川:
ここから今日の一つの協業のテーマであるデータ利活用について、DeNAグループとしてどう考えているかをお話しいたします。データ利活用は国全体もデータをしっかり活用するようにというトレンドがあり、これからさらにホットトピックになってくると思っております。その中で、当社として何が貢献できるか、何を課題解決していきたいかというのは、この二つのポイントに設定しております。
一つはヘルスビッグデータとか医療ビッグデータといいますと、どうしてもデータドリブンなニュアンスになりまして、肝心の生活者である個人が置き去りになっている印象を我々としては持っております。我々は生活者個人のところにしっかり寄り添った事業展開をしたいので、データ利活用に当たっても、しっかり生活者の行動変容をよりサポートできるようなエビデンスをつくっていくとか、それを最終的にはサービスに実装しながら生活者の方に還元していくことを、大事にしながら利活用の事業展開をやっていきたいと思っています。
もう一つは皆保険制度によってこの国のいろいろなデータは、ある意味では、すごくリッチに蓄積されているというのがあります。さらに高齢者が諸外国と比較して日本が先頭に立って増えていく中、だからこそできる取り組み、ないしはエビデンスをつくっていくことを含めた活動があると思っておりますので、当社としてもぜひチャレンジしていきたいところです。
この二つのポイントを大事にして今、取り組んでおります。
瀬川:
まず、この「Kencom」というサービスにおいては、利活用可能なデータを大きく大別しますと、上半分は保険者由来のデータというところと、病院由来とか患者さん由来のデータに分けています。企業のところでいうと健保ですね。自治体でいうと、国民健康保険であるとか、後期高齢者のところになるかなと思います。当社が取り扱っているのは、この赤枠のところの保険者データ808万人になります。MDVさんは下半分の医療機関さんのデータについて非常にたくさんのボリュームを蓄積されていると理解をしております。これって何がどう違うのかを可視化したものでご説明します。
瀬川:
健保組合のデータについては、この業界の中でも非常にたくさん使われているという認識を持っています。一方で、それぞれ保険者さんにはやはり偏りがあります。黒色が健保です。現役世代のボリュームが非常に多いので、40代 から 50代が山になっていまして、だんだん60代になると退職される方が多くなり下がってきます。国民皆保険制度というのは、必ずどこかの保険者には所属するという制度になっていますので、退職された方は国保に所属するので、緑色の国保はこの健保の下がり具合と逆相関で伸びています。最後に、後期高齢者制度というのが75歳以上になると皆さん入っていくという形になります。
これはどれかのデータが良い悪いというより、この国民皆保険制度の中でいろいろな保険者を渡り歩いていくという側面もありますので、どこかだけ見ているだけでは、日本の全世代の分析とはちょっとずれてしまう可能性があるというのが我々もいろいろなデータを取り扱ってみて感じたポイントでございます。健保のデータについては我々も今までよく分析ができてきたと思っております。今後でいうと高齢者が増えていく中で、国保と後期高齢者のところについても、しっかり治療実態も含めて把握しながら、より良いエビデンスないしは取り組みをつくっていきたいです。
瀬川:
国保や後期高齢者のデータというところも活用しながら、高齢者の追跡調査によってこれまで分かってなかった課題解決を進めていくというのが、今、当社が最も注力している一つのポイントになります。あくまで事例としてですが、例えばということで3つに分けますと追跡性、重症度、速報性というのは我々もよく分類しているものになります。
当然、保険者データというのは、健康な時もそうでない時もずっと、所属する限りはレセプトというものを通じてデータが入ってきます。例えば病院に病気になる前にどういう活動されていたかも含めて、追跡をしながら研究ないしは治療効果を見ることができるというのが追跡性です。これは保険者のデータが一番それを活用しやすいという意味で「高」となっています。
その病気の重症性を見たい時には、病院の検査のデータとか、そういうところを見ないと分からないことも多いのですけども、保険者データには健康診断の結果ぐらいしかありません。基本的に病院内でどんな検査をしたかのデータはないので、そういったところは例えばMDVさんもそうですけれども、電子カルテも含めた医療機関のデータと重症度を見たい場合には、そちらに明らかに優位性があるというところかなと思います。
あとはマーケティングによくご利用されるケースとかですと、調剤のデータが3日後には分かるので、そういった速報性みたいなところは、調剤データを活用いただくケースが多いのかなと思います。
我々は保険者データをこれまで取り扱っているという文脈においては健康な時もそうでない時もしっかり追跡をしながら、治療自体を含めて分析して、お役立てできるものを出していくことが一番重要なポイントと思っております。
瀬川:
保険者データの中には特徴がありまして、健保は働ける程度には健康なので、国民全体で見ると働けない方もいらっしゃるので、そこに健康バイアスというものがあります。健康診断の受診というのも健保データの場合、非常に高いのです。7 割、8 割を受診している健保も多くて、会社から受診勧奨をしている成果かなと思います。逆に自治体さん由来の国保とか、後期高齢者は軒並み検診受診率が低く、国保でいうと3 割などとどんどん下がっていきます。
やはり、どのデータがいい悪いというのも繰り返しになりますが、偏りが結構あるこの国の国民皆保険制度も含めた事情を踏まえた分析であるとか、全体像をデザインしながらエビデンスとして良いものをつくっていくことだとご理解いただければありがたいです。では、そういうことを通じてどういう分析をしてきたかを最後にご紹介します。
瀬川:
まず、生活者のエビデンスをつくっていくことです。これは論文を出させていただいているのですけども、「Kencom」を継続しているのは分かったのだけど、本当に健康になっているのですかという問いに答えたいという思いがありました。まだまだ発展途上ではあるのですけども、アカデミアの先生方にもご協力いただいて、エビデンスをしっかりつくっていこうと今、取り組んでいます。
瀬川:
これはユーザーのアプリの登録利用したことで歩数が増加しているという論文になります。保険者のデータの特徴として追跡性がありますが、「Kencom」を登録する前の情報も一部得られますので、登録前と比べるとどうだったという調査がしっかりできます。
よくアプリ使ってからどれくらい増えたかが分からないという指摘をいただくのですけども、アプリを使う前の歩数と比べてもしっかりと増えているということがわかりました。
また歩数だけではなくて、例えば「Kencom」をたくさん使っていただいている方は数年間で見た時に病気になっている割合が本当に減っているのかなども、さまざまな検査値であるとか、データを結びつけながら分析をしております。
瀬川:
もう一つが、レセプトだけではわからないこともたくさん多いので、いろいろな生活者の情報も含めて結びつけながら分析をしていくというところもやっております。
細かくは別途見ていただければと思いますけれども、当社の「Kencom」の利用されている方の中から許諾をいただいている方にアンケートを取りまして、有病率などの分析を進めております。
瀬川:
こちらは細かいので赤字のところだけ見ていただきます。頭痛がある方で、本当は重症度が高いから受診した方がいいのに行動していない方がたくさんいらっしゃるということも分析を通じて分かっております。このあたりは医療アクセスを改善する示唆も出せたかなと思っております。
瀬川:
最後3つ目の事例ですけれども、データに偏りがある中で、できるだけそれが日本の全世代の集団と違わないところが、データーをご活用いただくに当たって重要な一つのポイントとに認識しております。こちらも論文を書いていただきまして、当社のデータベースの代表性、母集団がナショナルデータベースと違わないというところを検証していただいたものです。
瀬川:
かなり細かいので、詳しい説明は割愛させていただきますが、この左のグラフを見てください。青色が当社のデータベースの母集団の分布、オレンジ色が、ナショナルデータベースの分布です。様々な偏りがあったと思うのですが、一般的な全体の人口推計値とかなり一致していることで、日本全体の統計をあらわす情報としても非常に有意であるとご評価いただいています。
瀬川:
我々としては、冒頭に申し上げた生活者向け施策にしっかり取り組みながら、それをどう世の中に役立てるかということを、今回MDVさんの取り組みを通じて、当社だけではできていなかった課題解決にも取り組んでいきたいと思っています。ありがとうございます。
MDVデータベースの概要とDeNAとの業務提携について
中村 正樹 メディカル・データ・ビジョン株式会社 取締役
中村:
メディカル・データ・ビジョンの中村でございます。宜しくお願いいたします。
私の方からは、当社のデータベースの概要というところと今般のDeNAさんとの業務提携によって何がどう変わるか。この2点について御説明させていただいています。
中村:
当社の経営理念・ミッションとしては、当社で今、幸いにも豊富な医療データを持たせていただいている中で、そこから確かな医療の実現に向けて、ゴールとしては医療の質の向上、ひいては生活者のメリットの創出に努めたいという思いで活動している会社でございます。
今般、DeNAさんとの業務提携を結んだ理由の大きなところとしては、文脈は少し異なるのですが、目指したい医療に対してのゴールは同じというところが、今回の2社のアライアンスの大きな理由になってございます。
中村:
では、当社のビジネスモデルですが、もともと左側の病院様ですとか、検診センター様等々に対してシステムを提供してきました。システムの詳細としては、主には経営支援システムを提供させていただいて、そこから利用料金をいただくところと、合わせて二次利用の許諾を得たデータを集めさせていただいて、当社が大きなデータベースを構築することで対応しております。
そこから右側のデータ利活用サービス、ここは製薬企業様ですとか、あとはアカデミアの先生方に対してデータを分析することが主なビジネスモデルになっております。
右下の生活者・患者様に対しても、医療情報や健康情報を戻すところについては、我々はまだそれほど大きな母集団になっておりませんが、BtoC向けのサービスも展開させていただいている状況でございます。
中村:
当社が今、現状保有しているデータについて画面上を示しております。まず左側の従来持っていた病院データに関しては、3,960万人※の大規模なデータを所有しております。右側の健康保険組合のデータを771万人※を保有できております。こちらが今、当社単体で使えるデータベースというところになっております。
※2022年4月末現在
中村:
では、これらのデータはどういう項目を持っているのかどうかというところを示しております。まず左側の診療行為並びに疾患情報というところに関しては、皆さんも例えば初診料、再診料、さらに薬剤の費用だとか、そういったものが記載されている診療報酬の明細書というものを受け取られるかと思います。
当社のユーザー病院に患者様が受診した後、先程の診療報酬が発生する項目に関しては、基本的に全てデータが取れている状況になっております。初診料、再診料等がかかってドクターに診ていただいた後に、投薬、注射、処置、検査、画像等々の行為が全て取れております。
反面、取れないものとしては、自費のワクチンだとか、そういったものに対しては保険請求外なので取れない項目もあります。
プラスアルファでデータの特徴としては、右側緑のところで書いておりますが、血液検査の結果値に関しても請求データとは別で収集させていただいております。こちらのデータの取得元は、主には電子カルテ等々から血液検査の結果値を中心にカバーしております。これは現状の母集団のうち、約60病院からデータを収集させていただいて、その60病院に対しては薬剤の処方に伴う効果、場合によっては副作用に近いものが起こってしまったというところを、その診療データと検査データを組み合わせて見られるような状況になっております。
中村:
データのイメージですが、上記のように入っておりまして、オレンジ色のところに患者様ごとに性別、年齢が入って、色が変わって病名情報、どういった病名で診断されているのか、この横に日付、入院なのか外来なのか、診療科はどこなのか、どういった薬剤が出ているのか、1日当たりの量、処方の日数などが取れる形になっております。
この患者さんの場合ですと「アマリール」というお薬が単剤処方として1剤だけが出ていて、途中3月から「ジャヌビア」というお薬がONされて二剤併用になって、5月からはさらに「フォシーガ」という薬剤が追加され三剤併用になり、「HbA1c」の値が下がりつつあるという症例になっております。
我々請求データ中心のものではありますが、こういったデータをいろいろと組み合わせることによって、患者さんのトリートメントフローだったり、その治療に対する効果だったりも可能な範囲では追えるというデータベースを所有しております。
中村:
では、このデータが実際、どういうシーンで製薬企業様に使われているのかをご紹介します。
まず一つ目は、対象薬剤が実際にどういう使われ方をしているのかという実態把握というところで、営業・マーケティングなどで使われております。
また、その次に引き合いとして多いのは、当社のデータベースを使った上で論文作成をしていくというエビデンス創出が非常に多いです。
あとは、製造販売後調査で、従来は症例を集めていたところに対してもデータベースでできるということで症例等々も変わったところがありますので、そういったシーンでも当社のデータベースは積極的に使われております。
今後、対応していきたい領域としては、治験を中心とした臨床研究の領域で、今まで治験に関しては、治験コーディネーターの方々が1枚1枚カルテをめくって症例を探していたところを、データベースを用いて効率化できないかをサービスとして展開しようとしているところがございます。
こういった観点で、当社のデータベースをご利用いただいております。
中村:
では、ここからは今般のDeNA様と業務提携について何をどうしていくのか。どういった目的でやっていくのかということについて、お話しさせていただきます。
中村:
まず本提携の目的、我々がどういうゴールを目指すのかに関して、改めてですが、まず1点目は生活者へのメリットの創出。これは我々も目標と掲げており、DeNAさんも健康寿命の延伸と挙げられていますので、データを用いて一緒にやっていきたと考えております。
また、今回のデータのところでさまざまなカバーができるようになりますので、医療費の適正化に貢献したいところと、そこからのエビデンスの創出で医療の質の向上に対しても2社で達成したいゴールの一つとして考えております。
中村:
では、この2社が組むことによってどういった相乗効果があるのかについてご説明させていただくと、左側、創業してからずっと取り組んでいることは、BtoBの領域、製薬企業様ですとか、病院様に対してのデータの利活用について得意な会社でございます。
DeNA様に対してはこちらからは言うまでもないかと思うのですが、BtoC向け、生活者に対してさまざまなサービスを提供されておりますので、この双方、共に取り組んでいる得意領域を活かした上で、医療という業界に対してサービスを提供して貢献していきたいという思いが非常に強いのが、今回の提携における相乗効果と考えております。その中で昨日、プレスリリースを出しましたが、まずはデータビジネスから2社でやっていこう。このような動きが今回の内容でございます。
中村:
では今後、何からやるのかというと、現状、当社の方で既に提供している分析用のWebツール「MDV analyzer」というものがありまして、そこに今回2社で連携した1,500万人の保険者データを搭載することを本年の夏を目標として、今2社でちょうど動いているところでございます。
中村:
「MDV analyzer」は実際に見ないと、なかなか分からないところもあるかと思いますので、こちらをご覧いただければと思います。上のDPCというのが病院データ、下の健保というところが保険者データです。当社の場合だと、健保のデータですね。
今、「COVID-19」の患者で設定したところ、病院データだと患者数20万人弱、保険者データのところだと4万4000人程度取れております。
こちら年齢の分布になっているのですが、上のDPCに関しては、高齢者層に対してもグラフが出ているところが分かるかと思います。現状、下の健保データに関しては、当然のことながら、若年層が母集団になるので、その結果が出ています。
病院データは重篤な疾患に関しての状況が把握できる、健保データに関しては連続性が担保できるデータだけれども、年齢層が若年層に偏っているということが弱点でした。しかしここに今回のDeNA様とのアライアンスによって連携データを作成できますので、国保並びに後期高齢者のデータが入ってきます。従来持っていた重篤な疾患を持っているような、病院データに加えて連続性が担保できた若年層を、後期高齢・国保も含めた日本のほぼ全てのデータがカバーできることが今回の連携の大きな特徴となっております。
中村:
このウェブツールに関して、夏を目標に対応していくというお話をさせていただきましたが、実はこのウェブツールがある種、見せ方とかも含めて一番大変なところで、こちらを夏までにやっていこうという目標を掲げ2社で取り組んでいます。
従来のサービスの個別分析、アドホック分析や論文作成に対するデータセットについても、ウェブツールができたのと同じタイミングからの提供開始というところを2社で目指していこうと合意しているところでございます。現状で、もう既に双方のデータの仕様書の確認等を行っているところでございます。
もし共同で商品開発をやっていきたい企業様がいらっしゃいましたら、我々としては大歓迎でございます。
中村:
最後にメッセージとして改めて2社で連携した上で、この医療業界に対して健康に資する、行動変容のサポート、並びに医療アクセスへの向上につなげていきというのが、今回2社で取り組みたいところの内容でございます。
以上で、私の説明は終了となります。ありがとうございます。