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医療ビッグデータの利活用

実臨床データから分析した結果を製薬会社/研究機関にフィードバック

根拠に基づいた医療「EBM」

近年、日本ではEBM(Evidence based Medicine:根拠に基づいた医療)の重要性が広く認識されるようになってきました。EBMは「入手可能で最良の科学的根拠を把握した上で、個々の患者に特有の臨床状況と価値観に配慮した医療を行うための一連の行動指針」などと定義されます。

医師個人の限られた経験や勘ではなく、利用可能な設備や時間などの制限、患者固有の事情や意思などを総合的に判断して、科学的な根拠のある治療法を選択しようという考え方です。こうしたEBMの実践に、根拠のある客観的な医療ビッグデータは欠かすことはできません。

「医療ビッグデータ」とは?

では、皆さまは「医療ビッグデータ」と聞いてどのようなデータを思い浮かべるでしょうか。
医療データにも様々ありますが、生活者が医療機関を受診すると生まれるデータもその1つです。問診情報や各種検査結果、画像記録、薬の処方記録、手術記録など、患者1人から幅広いデータが生まれます。全国の医療機関から、これらのデータがカルテやレセプト(診療報酬明細)、厚生労働省が定めたデータフォーマットなどの形でまとめられ、日々膨大な量が蓄積されています。

そうして蓄積された医療ビッグデータとして、例えばレセプトデータやDPCデータがあります。これらは、実臨床で使用できるリアルワールドデータ(RWD)として活用が進んでいます。

◆ レセプトデータ

レセプト(診療報酬明細書)とは、患者に対して行なった医療行為について、患者の窓口負担分以外の医療費を支払い機関に請求する際に、診察開始日や診療内容について取りまとめたデータです。

◆ DPCデータ

DPCデータとは、2003年に厚生労働省が導入した、DPC制度導入病院が作成するデータのことです(詳細は「病院経営<リンク>」をご覧ください)。全国統一のデータフォーマットで、レセプトデータよりも詳細に取りまとめられています。

医療ビッグデータ活用とリアルワールドデータの広まり

EBM概念の浸透に伴い、RWDに対する関心も高まってきています。RWDは、医薬品の治療効果や副作用などに関する「実臨床」のデータを意味します。

製薬会社は新薬の開発にあたり治験を実施しますが、従来の薬剤との効果の違いを抽出することが目的であるため、条件の揃った比較的少数の集団を治験の対象としています。一方、病院などにおける実際の臨床では、薬剤はさまざまな背景を持つ多数の患者に処方されます。そのため、治験で発見できなかった効果や副作用が検知されることは珍しくありません。30人の治験では顕在化しなかった致命的な副作用が、実際に薬が上市された後3,000人の実臨床で表面化するというケースもあります。

こうしたRWDを収集・蓄積し、製薬メーカーや研究所にフィードバックすることで、創薬や医薬品の改良、病気のメカニズムの解明、安全性の監視に役立てようという動きが日本でも本格化しつつあります。

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