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DPC/PDPS

Diagnosis Procedure Combination / Per-Diem Payment Systemの略で、急性期病院における入院時医療の包括払い制度のことを指します。
従来は、医師が患者に行なった診療行為ごとの点数を積み上げて計算する「出来高払い方式」でした。医師が必要と判断した医療サービスを安心して提供できるというメリットがある一方で、効率的で効果的な医療が評価されにくいというデメリットもありました。
こうしたデメリットを解消するため、「医療の標準化・均てん化を図って医療の質を高める」ことを目的に、2003年4月に厚生労働省が導入した評価制度がDPC/PDPSです。病名や診療内容を約5,000に分類し、それぞれに対し1日あたりの入院費用が定額となっています。定額の点数からなる包括評価部分(入院基本料、検査、投薬、注射、画像診断など)と、従来通りの出来高評価部分(手術、胃カメラ、リハビリなど)を組み合わせて計算を行ないます。

DPCデータ

診療情報の全国統一データを指し、様式1・Eファイル・Fファイル・Dファイル・Hファイル等からなります。
様式1
簡易版の退院サマリ。患者の性別や生年月日、入退院年月日、病名・手術情報などのさまざまな診療録情報が記載されており、患者の概略を把握ができます。
E・Fファイル
月に1つ作成されるファイルで、「出来高による診療報酬の診療行為をどれだけ実施したか」という情報が記載されています。
E・Fファイルには共通して、データ識別番号、入退院年月日、データ区分(手術、検査、処方などの診療区分に対応)に関する項目が記載されています。一方、Eファイルには実施年月日や行為回数など、Fファイルには診療明細名称・使用数量・基準単位などが固有に記載されています。
Dファイル
厚生労働省が定める、病名や診療内容から定められる「診断群分類点数表」により算定した、患者に係った診療報酬請求情報が記載されたもの。
Hファイル
患者の重症度や医療・看護の必要度合を記した看護情報ファイルです。実際に行なわれた看護業務の内容が分かります。
詳しくは「DPC分析ベンチマークシステム」をご覧下さい

病院

病院とは、病床数(ベッド数)が20以上の入院施設を持っている医療機関様を指します。病床数が19以下の医療機関は診療所(医院・クリニック)として区別しています。

DPC対象病院

DPCの制度を取り入れている病院をDPC対象病院と呼びます。DPC対象病院になるためには、厚生労働省が定めたいくつかの規準を満たし、厚生労働省に届出する必要があります。

診療報酬

病院の“売上金額”とは医療費です。その医療費は診察でかかる初診料や再診料、入院料、注射料、画像診断料、指導管理料など、様々な医療行為で構成され、これらの要素全てに診療報酬という形で厚生労働省が全国一律の公的価格を細かく設定しています。診療報酬に則り作成したレセプト(診療報酬明細書)を指定機関へ提出することで、患者が窓口で支払う一部負担分を除いた残りの医療費分を受取ることができます。
診療報酬の価格は2年に1回、中央社会保険医療協議会で見直され、これを診療報酬改定と呼びます。
詳しくはMDVについて「病院経営支援」をご覧下さい

EBM

Evidence based medicineの略で、根拠に基づいた医療を意味します。「入手可能で最良の科学的根拠を把握した上で、個々の患者に特有の臨床状況と価値観に配慮した医療を行うための一連の行動指針」などと定義されます。医師個人の限られた経験や勘だけではなく、利用可能な設備や時間などの制限、患者さん固有の事情や意思などを総合的に判断して、科学的な根拠がある治療法を選択しようという考え方です。
詳しくは「MDV EBM insight」をご覧下さい

医療用医薬品

医療機関において、医師が診断した上で発行される処方箋に基づき、処方される医薬品のことです。先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック医薬品)に分けることができます。
先発医薬品は開発に年月と費用がかかるため、その投資回収のためにも開発した医薬品メーカーが独占的に販売できる特許期間が20年~25年与えられます。後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、特許が切れた後に他の医薬品メーカーが製造・販売している医薬品のことで、先発品と同じ成分を含み、低価格で同等の効果・作用が得られる医薬品です。

治験

薬の開発の最終段階で、人間に投与して効き目や安全性を確認する試験のことです。すべての薬は治験の後に国の承認を得て販売されます。
治験へは全ての人が参加できるわけではなく、年齢や既往歴などの条件があります。そのため、治験参加者の選定に苦労する企業も多々あり、治験を行うための対象者選定時などに医療ビッグデータの活用も検討されています。

地域医療構想

「地域医療構想」とは、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据え、急性期医療に偏っている現在の医療提供体制と、将来推測されるの医療需要とのミスマッチを減らす取り組みです。今後は1病院だけで完治を目指す従来の「病院完結型」ではなく、集中治療や回復・リハビリ治療など病院の持つ医療機能を分担し、地域全体で患者を治していく「地域完結型」の医療提供体制の構築が図られます。
医療機能は以下のいずれかに分けられます。
高度急性期機能
生命の危機状況にある患者の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い救命救急や集中治療などの医療を提供する機能
急性期機能
高度急性期機能の次に緊急性の高い患者の早期安定化に向けて、医療を提供する機能
回復期機能
急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能
慢性期機能
長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能

カルテ開示

患者によるカルテ開示は、個人情報保護法により認められている患者の権利です。一方で、カルテ開示が医療機関の義務であることを知らない患者が4割以上いるという結果もあります(※)。患者の権利としてカルテを見る権利がある、ということに意識が浸透していないことがわかります。
詳しくはMDVについて「診療内容の記録を手元に」をご覧下さい

(※)2014年12月~2015年1月に厚生労働省が行なったハンセン病問題再発防止検討会による大規模意識調査。患者の権利を守る方策を研究する同検討会が実施し、何らかの病気を持つ患者5,000人からインターネットで回答を得た。