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新型コロナ流行時に新生児集中治療が減少
英小児科学会誌オンライン版に掲載2020年11月26日
メディカル・データ・ビジョン株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:岩崎博之)の保有する大規模診療データベースを用いた分析で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時、新生児集中治療の入室日数および早産の件数が減少傾向にあったことが明らかになったので、お知らせします。
本研究は国立成育医療研究センター(同世田谷区)周産期・母性診療センターの前田裕斗医師、小川浩平医師、左合治彦医師、東京大学大学院医学系研究科・公衆衛生学教室の宮脇敦士助教、および慶應義塾大学医学部医療政策管理学教室・二宮英樹(株式会社データック代表取締役CEO、医師)、それに、当社取締役の中村正樹らのチームで共同で実施しました。本研究の論文は小児科分野をカバーしている英国医学雑誌ADC(Archives of Disease in Childhood - Fetal and Neonatal Edition)のオンライン版
( https://fn.bmj.com/content/early/2020/11/22/archdischild-2020-320521.full?ijkey=UDrsFt0f0fi9vv1&keytype=ref)に掲載されました。
COVID-19流行により、当初、妊婦の心身ストレスが増加し周産期疾病や新生児集中治療の件数が増えると懸念されていました。しかしながら、海外ではむしろ極低出生体重児(出生体重 1500g 未満児)が減少しているとの報告もあり、日本でも同様の結果を示すかどうか本研究により分析しました。全国186のDPC病院を対象にしました。
当社が保有する診療データベースを使用し、2020年の第2~9週(1月6日に始まる週から、政府がCOVID-19への基本方針を策定した2月25日から始まる週まで)と2020年の第10~17週(3月2日に始まる週から、政府が緊急事態宣言を全都道府県に拡大した4月16日を含む4月13日に始まる週まで)のNICU(※1)、GCU(※2)各入室日数、および早産(妊娠34-37週および34週以前)を年・月のトレンドを調整し比較することで、 COVID-19流行第1波期間中の変化を分析しました。
その結果、NICU入室日数は2020年第2~9週目から2020年第10~17週目で24%減少(95%CI, 11%-35%)、GCU入室日数は29%減少 (95%CI, 25%-34%)しました。病棟の閉鎖や利用控えなども理由として考えられますが、妊娠34週未満の早産は29% (95%CI, 0%-50%)、34-37週の早産は15% (95%CI, 2-26%)減少しており、少なくとも新生児集中治療を要するような新生児の数が減ったことも一因として示唆されます。宮脇助教は「今後、なぜこのような減少が見られたのか、さらなる研究が期待される」と述べています。
※1 NICU: 新生児特定集中治療室。早産児や低出生体重児、または何らかの疾患のある新生児を集中的に管理・治療する部門
※2 GCU: 回復治療室。NICUで治療を受け急性期を脱し、状態が安定してきた新生児が引き続き治療を受ける部門
<本件に関するお問い合せ先>
メディカル・データ・ビジョン株式会社
広報 : 君塚・赤羽
MAIL:pr@mdv.co.jp
TEL:03-5283-6911(代表)
東京大学大学院医学系研究科
公衆衛生学教室: 宮脇敦士
MAIL:amiyawaki-tky@umin.ac.jp